育児のための時短勤務を理由としたパート契約への変更等が不法行為とされた事例

1 法の規定と実態

育児休業法は、育児休業申し出をした労働者に育児休業を付与し、また、所定労働時間の短縮措置等を講じなければならないとしています。

そして、以下のとおり、育児休業を取ったり、時短勤務となったりしたが故の不利益扱いを禁止しています。

(不利益取扱いの禁止)
第十条 事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

第二十三条の二 事業主は、労働者が前条の規定による申出をし、又は同条の規定により当該労働者に措置が講じられたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

しかし、実情としては、育児休業を取得したり、時短勤務となったことで不利益な扱いを受ける場合が多いようです。

2 東京地裁平成30年7月5日判決

東京地裁平成30年7月5日判決は、時短勤務となった育児中の労働者が、パート契約とされたという事案についての裁判例です。

この事案では、使用者において、時短勤務をするのであればパート契約となるとの説明をし、労働者としては釈然としないながら、パート契約を締結しました。

このように、労働者の意思が介在しているところが特徴の事案となります。

裁判所は、時短措置により使用者が一方的に労働者に不利益を課した場合、違法無効となるとしました。

労働者との合意で不利益とした場合、直ちに違法無効とはならないものの、合意の成立及び有効性の判断は慎重になされるべきものとしました。

その上で、当該事案について、パート契約となることは長期間の安定的稼働という観点からすると労働者に相当の不利益を与えるものであること、パート契約とならなくても時短勤務が可能であることについて十分な説明がなかったなどとして、自由意思による合意はなかったとしました。

結果的に、時短勤務を理由にパート契約としたことについて不法行為に該当するとされています。

なお、同事案では、その後に退職強要がなされたこと、解雇がなされたことについても男女雇用均等法違反となるとして、不法行為となるとされています。

3 最後に

このように、労働者が同意や合意をした場合でも、育児休業や時短勤務を理由とした不利益取り扱いは不法行為となりえます。

このような事例でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です