
1 飲酒運転を放置した人の賠償責任
大阪地裁令和2年2月26日判決は、交通事故で被害者が死亡した事件について、飲酒運転を放置した者の損害賠償責任を否定しています。
飲酒運転を放置した場合に放置した者が法的責任を負うかどうかはケースにより分かれますが、大阪地裁判決はその判断にあたり参考になるものですので、以下ご紹介します。
2 判決の内容
この訴訟で、遺族は、加害者と一緒に酒を飲んでいた同席者について、加害者がアルコールの影響により自動車の正常な運転が困難であることを認識していたのに、これを制止することなく運転を容認したとして、同席者に賠償責任があると主張しました。
これに対し、判決は、以下のとおり述べ、同席者の責任を否定しています。
判決は、同席者らについて、「本件飲食店で飲食する前に、加害者から加害者車両を運転することを依頼されて、これを承諾し、本件飲食店においても飲酒をせず、本件駐車場に戻るまで、加害者が加害者車両を運転することは想定しておらず、本件駐車場に戻ってからも、同席者Aは、加害者車両を運転するために加害者車両の運転席に乗り込み、運転席の高さを調整し、運転するつもりであり、加害者車両の後部座席に乗った同席者Bも同席者Aが運転するものと考えていた」等と認定しています。
判決は、このような事情を踏まえ、「加害者の様子からは酔いが原因で事故を起こすようには感じなかったため、それ以上の注意はしなかったこと、加害者は、同席者Aが高さ等を調整した座席を改めて調整せず、少し移動することを前提とした行動を執っていたことからすると、同席者A及びBにおいて、加害者の運転を違法にほう助したとまではいえない」、「以上によれば、同席者A及びBに民法719条2項の責任があるとはいえない」との判断を示しています。
このように、同席者らにおいて、酒を飲んだ者が運転をしないことを前提とした行動をしていたことを踏まえ、同席者らにほう助の責任が成立しないとしています。
飲酒に同席していた者において飲酒した者が運転すると予期していたかどうかは水掛け論になりがちとも考えられますが、大阪地裁判決は客観的な行動から認定をしており、酒酔い運転におけるほう助責任の成否を検討する上で、参考になるものと考えます。
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