コロナ差別(新型コロナと医療従事者等への差別) 新型コロナ法律相談その22

さいとうゆたか弁護士

1 新型コロナと医療従事者等への差別

報道によると、新型コロナウイルス感染者が治療を受けている医療機関の医師や看護師などが、心ない差別的言動を受け、あるいは受診などの拒否をされているとのことです。

このような行為は、法的にも許されないものです。

2 心無い発言や排除などについて

医療従事者等に対し、公然と感染のリスクがある者呼ばわりすることは名誉棄損に該当します。これは場合によっては処罰もありうるところですし、損害賠償の対象ともなりえます。

公共の利害に関する事柄について、公益目的で、真実の発言をした場合、名誉棄損だとしても違法性がなく、刑事上民事上の責任を負わないことになります。

しかし、医療従事者等を公然と感染のリスクがある者呼ばわりすることに公益目的や公共の利害性があるとは思われず、違法性がないとされるケースはあまりないと考えられます。

また、公然と発言したものではないとしても、人格権侵害となり、やはり損害賠償の対象となることはありえます。

さらに、町内会や学校などから組織的に排除する場合にも、村八分と同様、違法行為として損害賠償の対象となることがありえます。

この点、大阪高裁平成25年8月29日判決は、以下のとおり述べ、共同絶交を違法行為としていますので、ご参照ください。

「平成二二年八月頃には、c隣保内の者が被控訴人らとの付き合いをしなくなり、被控訴人らを無視したり、仲間外れにしたり、被控訴人らを誹謗中傷する書面が配られるなどするようになり、更に、平成二三年五月頃、本件通知書が被控訴人太郎方に送付されたものである。そして、本件通知書は、その内容からも、それまでの被控訴人らに対する行為と一連のものであることは明白であり、被控訴人らに、いわゆる村八分ないし共同絶交を宣言したもので、これらの一連の行為は、社会通念上許される範囲を超えた被控訴人らの人格権を侵害する違法行為であって、不法行為であることは明白である。」

3 受診、入園、入所などサービスの拒否

新型コロナウイルス感染者が治療を受けている医療機関の医療従事者であることを理由に受診拒否をすることは、医師法第十九条「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」に反する可能性があります。

その他、法律上サービス提供が義務付けられている業種はもちろん、義務付けまでいかなくとも公共性の高い業種のサービスなどを拒否する場合には違法性がありとされる可能性はあると考えます。

4 最後に

新型コロナウイルスをめぐり差別や心無い発言などを受けたということでお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。

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