河井前法務大臣立件との報道 どのような結論が予想されるか

さいとうゆたか弁護士

1 河井前法務相立件との報道

本日の紙面では、河井前法相が地元議員らに現金1000万円前後のお金を地元議員らに配ったとして、検察が公職選挙法違反(買収)で立件方針を固めたと報道されています。

これが事実かはわかりませんが、実際に起訴され、有罪判決となった場合、どのような結論が予想されるでしょうか。

以下、解説します。

2 公職選挙法違反(買収)における判決、量刑

近年の裁判例をみると、公職選挙法違反(買収)での有罪判決事例においては、懲役1年(執行猶予付)という事例が多いようです。

しかし、動いたお金の多寡により量刑が異なります。

例えば、静岡地裁平成28年6月3日判決は、現金540万円余の買収により有罪となった事案において、以下のとおり述べ、懲役2年執行猶予5年の判決を言い渡しています。

「本件犯行は,被告人の参加していた判示政治団体の活動として行われたもので,計画的かつ組織的な犯行である。前記会社に対し支払われた金額は,約540万円と多額であり,その結果,実際に25名のアルバイトが本件ビラの街頭頒布等を行うに至っている。資金力を利用して,自由公正かつ適正な選挙の実施を害した本件犯行の結果は重いというべきである。」

「被告人は,選挙アドバイザーとして前記政治団体の活動を全面的に指揮し,本件利害誘導をはじめとする具体的な活動を積極的に発案するなどし,共犯者らはみな被告人の指示および助言に従って活動していたのであり,本件において被告人の果たした役割は極めて大きい。被告人は,これまでの多数の選挙応援の経験を見込まれて,選挙アドバイザーとして前記政治団体に参画したのであるから,選挙違反には慎重に,選挙の公正を害さないように関係者を導くことが求められる立場にあったにもかかわらず,自己の独自の見解に基づき,安易に犯行に及んで関係者らを巻き込んだものであり,これまで数々の政治家の選挙を応援してきた選挙アドバイザーの姿勢としてはあまりに無責任であり,社会的非難は免れないというべきである。」

「もっとも,被告人は,静岡市政や全国の政治を良くしたいという情熱のもとで,第三者の選挙運動を支援するために本件に関与したものであること,本件についてマスコミ等で報道され,選挙アドバイザーとしての活動も事実上縮小せざるを得なくなるなどの社会的制裁も受けていること,被告人には約30年前の公務執行妨害罪の執行猶予付き前科がある以外には前科がないこと等の被告人にとって有利な事情も認められる。」

「以上の諸事情を総合して考慮すれば,被告人に対しては主文の懲役刑に処した上でその刑の執行を猶予するのが相当である(なお,猶予期間は公民権停止期間と連動していることに鑑み,5年間とするのが相当と判断した。)」

ここから考えると、仮に1000万円の買収で有罪判決を受けると、懲役2年から3年程度の刑(執行猶予付)の可能性があるように思われます。

3 当選無効、公民権停止

買収により当選者あるいは選挙関係者の有罪判決が確定すると、公選法251条等で当選無効となる可能性があります。

また、公職選挙法252条により、買収により有罪判決が確定した者は、執行猶予期間中において選挙権・被選挙権を有しないことになります。

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