パワハラと労災についての厚生労働省方針

さいとうゆたか弁護士

1 パワハラと労災

報道によると、厚生労働省は、精神障害の労災認定基準にパワハラを織り込んだものを6月1日から適用する方針を固めたということです。

この点、精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書が令和2年5月に作成・公表されていますので、この記載内容が基準となるものと思われます。

以下、報告書に沿って、どのようなパワハラがあったときに精神障害が労災認定されるのか、見ていくことにします。

2 精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書

同報告書では、どのような事象があったときに業務による心理的負荷が強いと評価されるか、つまり労災が認められやすくなるかについて、パワハラや対人関係に関する項目が付け加えられるとされています。

特に、以下のようなパワーハラスメントが認定されると、心理的負荷が強とされることになります。

・ 上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合

・ 上司等から、暴行等の身体的攻撃を執拗に受けた場合

・ 上司等による次のような精神的攻撃が執拗に行われた場合

▸ 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を大きく逸脱した精神的攻撃

▸ 必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃

▸ 心理的負荷としては「中」程度の身体的攻撃、精神的攻撃等を受けた場合であって、会社に相談しても適切な対応 がなく、改善されなかった場合

以下のようなパワーハラスメントについては心理的負荷は中とされます。

・上司等による次のような身体的 攻撃・精神的攻撃が行われ、行為が反復・継続していない場合

▸ 治療を要さない程度の暴行による身体的攻撃

▸ 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を逸脱した精神的攻撃

▸ 必要以上に長時間にわたる叱責、他の労働者の面前にお ける威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃

 

今後、パワーハラスメントで労災申請をする場合、これらの基準が決定的に重要となりますので、これらの基準に記載されている事項について適切に主張立証していく必要があります。

3 新潟で労災は弁護士齋藤裕へ

過労と脳・心臓疾患についての記事

新型コロナと医療従事者等の労災についての記事

無給医と労災についての記事

症状固定前の労災からの支給内容についての記事

被災労働者が死亡したときの労災保険の支給内容についての記事

もご参照ください。

労災・労働災害でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。

弁護士費用はこちらの記事をご参照ください。

さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です