
1 婚約と慰謝料
婚約している人と第三者が不貞をすると慰謝料が発生する可能性があります。
また、婚約を不当に破棄した人は慰謝料支払い義務を負います。
しかし、どのような段階になったら婚約が成立したと言えるのか、必ずしもはっきりしません。
そこで以下、裁判例を参考に、どのような場合に婚約が成立したと言えるのか、見ていきます。
2 婚約をめぐる裁判例
東京地裁平成30年2月22日判決
「原告とAとは,同年11月には婚約したとしながら,そこから2年5か月が経過した平成26年4月15日になって入籍していること,証拠(乙1,原告本人・11頁)によれば,被告とAとの関係が原告に判明したという同年2月の時点においてすら,具体的な婚姻の日取りは決まっていなかったこと,原告は平成20年5月以降東京都豊島区内に住民票があり,Aは原告と結婚するまでの間,茨城県内に住民票があったことが認められ,これらの事実に照らすと,法的保護に値するような婚約又は同棲の状況があったとは認め難い。
東京地裁平成29年10月30日判決
「原被告間における婚約の成立をうかがわせる客観的な証拠は,本件申込書のみであるほか,被告が指摘するとおり,原被告が結納や結婚式場の下見,婚約指輪の購入などをしていないことは,当事者間に争いがない。」→婚約否定
東京地裁平成28年11月14日判決
「被告Y1は,後記のとおり,平成20年12月頃に,原告に対し,婚約指輪を渡し,原告と被告Y1が,平成21年2月ないし3月頃にはそれぞれの親が参加する顔合わせの食事会を行っていることなどからすれば,原告の主張に沿う証拠(原告本人1,20頁)は信用することができ,これによれば,原告は,被告Y1から平成20年9月頃に離婚が成立したら結婚しようと言われたことが認められる」→婚約肯定
東京地裁平成27年11月17日判決
「原告は,平成24年8月8日,被告Y1と婚姻する意思で被告実家に転居しており,被告Y1も,原告及びAを実家に迎え入れて同居を開始していることからすれば,遅くとも,同時点で原告と被告Y1との間で婚約が成立したと認められる。」
これらの裁判例からは、ⅰ 入籍があった場合はそれまでの期間、ⅱ 婚姻の日取りの決定の有無、ⅲ 住民票や同居の有無、ⅳ 結納や結婚式の準備、ⅴ 婚約指輪の授受、ⅵ 親を交えての集まり、ⅶ 結婚をするとの意思表明などが総合考慮され、婚約の成否が判断されていることがわかります。
決して結婚を約束したという一事だけで婚約成立とはならないことに注意が必要です。
3 新潟で婚約破棄、離婚をめぐるご相談は弁護士齋藤裕へ
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