山下智久さんに対する活動自粛処分の妥当性

さいとうゆたか弁護士

1 山下智久さんに対して活動自粛処分、亀梨さんには厳重注意

報道によると、山下智久さんが、女子高生らと飲酒し、ホテルで過ごしたことに関連して、事件が新型コロナウイルス感染対策の必要がある中で報道され社会的反響があったことを理由に活動自粛処分を受けたとのことです。

女子高生と飲酒等したことについては、年齢確認をした上で成人と認識していたということであり、処分の対象とはなっていないと思われます。

そうだとすると、活動自粛処分の理由は、実質的には、新型コロナウイルス感染対策の必要がある中、女性と飲酒し、ホテルの部屋で一緒に過ごしたことに求めるほかないでしょう。

しかし、このような行動は私的行動だったはずです。

このような私的行動を理由して活動自粛処分を下すことは許されるのでしょうか。

以下、山下さんがジャニーズ事務所に雇用されていたこと、活動自粛処分が実質的な懲戒処分であることを前提に検討します。

2 活動自粛処分の懲戒処分としての許容性

これまで多くの裁判例において、労働者の私生活上の行為を理由とした懲戒処分の効力が争われてきました。

そもそも労働者は使用者の家来ではありません。

ですから、私生活上の活動を理由とした懲戒処分は原則として許されないはずです。

しかし、私生活上の活動であっても会社の経営などに影響もありうるため、難しい問題が生じます。

これまでに裁判例等をみると、企業の社会的評価を棄損するおそれがあるような場合等については、私生活上の非行についても懲戒の対象となるとされてきました。

よって、山下さんの飲酒などがジャニーズ事務所の社会的評価をどの程度棄損するものであったかが問われるでしょう。

また、バスガイドが休暇を不正取得し、バスの運行に支障を生じたという事例、つまり業務に具体的な支障が生じた事例でも、6ケ月の出勤停止は重すぎ、3ケ月のみ認めるという裁判例もあります(盛岡地裁一関支部平成8年4月17日判決)。ですから、活動停止処分が有効だとしても、無期限の活動停止処分が有効かどうかということは別途問題となりえます。

今回の件については、飲酒等自体は犯罪ではありません。女子高生が一緒にいたことについても、山下さんは女子高生との認識がなかった可能性があります。よって、ジャニーズ事務所の社会的評価を棄損するおそれがあるとしてもその程度は大きくないという評価は可能でしょう。また、東京高検検事長というその品位を高く保つべき人が緊急事態宣言中に賭け麻雀をしていても懲戒処分にすらなっていないという事例との対比も必要でしょう。以上から、山下さんの活動自粛処分は違法無効とされる可能性はあったと考えます。

芸能界においては、従来、労働者の権利が十分尊重されないきらいがあったと思います。

しかし、最低限の法的ルールに従った取り扱いがなされるべきです。

 

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