東京アラートが発動されたら法的にどうなる?

さいとうゆたか弁護士

1 新型コロナと東京アラート発動

報道によると、新型コロナウイルスに関連し、2日の感染者数が34人となり、「東京アラート」が発動される見込みとなったようです。
この東京アラートについて、東京都の資料では、
ⅰ 新規陽性者数が1日20人
ⅱ 新規陽性者における接触歴等不明率50パーセント
ⅲ 週単位の陽性者増加比1
という目安を超え、その他の指標も勘案して警戒すべき状況と判断される場合に発動されるものということです。

さらに
ⅰ 新規陽性者数が1日50人
ⅱ 新規陽性者における接触歴等不明率50パーセント
ⅲ 週単位の陽性者増加比2
という目安を超えると休業の再要請になるということです。

よって、東京アラートは、休業要請のさらに前段階のものであり、それ自体は法的効果を有さないものと考えられます。

2 東京アラートの法的影響

東京アラートそれ自体は法的効果を持つものではありませんが、新型コロナが危険な状況にあることを公的に確認したものとして、法的意味を持つことはありうるところです。

現在、東京では、休業要請等の緩和のSTEP2に踏み込んだところであり、飲食店の営業時間緩和、劇場等の営業再開がなされています。
例えば、施設等で働く労働者が施設で新型コロナウイルスに感染したという場合、STEP2で営業が認められている業種においては、営業をしていたというだけでは施設側に法的責任を認めることは困難でしょう。
しかし、営業をするにしても、必要な感染防止対策が不十分だった場合、東京アラートが発動している状況においては、発動していない状況に比べ、損害賠償等の責任が認められやすいと考えられます。
例えば、劇場等においては、入場制限措置までとらないと法的責任が認められるかもしれませんし、業界の定めるガイドラインを徹底的に順守しないと賠償責任が認められやすくなる可能性はあります。

また、新型コロナ対策で労働者を休業させる場合、不可抗力でなければ使用者は60パーセントの休業手当を支払う必要があります。
東京アラートが発動されたからといって直ちに休業が不可抗力になるわけではありませんが、東京アラートの発動が不可抗力であることを裏付ける事情になるとはいえるでしょう。

このように、東京アラートの発動自体で直接の法的効果はありませんが、感染者が出た場合の法的責任のあり方に影響することがないとは言えません。
東京アラートの発動の有無が注目されます。

 

持続化給付金を受け取れるのは誰か?

新型コロナで勤務日数が削られたら

自粛警察の法的問題

マスクをつけないことを理由とした懲戒処分

正社員だけテレワークは納得できない

もご参照ください。

さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です