同性カップル(LGBT)が喪主を務める権利、法的利益

さいとうゆたか弁護士

1 LGBT、同性カップルと喪主を務める権利、法的利益

現在の法律では、同性のカップル間の結婚は正式な結婚とはされません。
しかし、同性の内縁カップルについては、男女の内縁カップルと同様の保護を受けると考えられます。
例えば、同性カップルの一方が不倫をすれば慰謝料の対象となると考えられます。
この点、同性カップルの一方が先に亡くなった場合、他方が喪主をする利益が法的に保護されるか、大阪地裁令和2年3月27日判決が参考になると思われますのでご紹介します。

2 大阪地裁判決

大阪地裁令和2年3月27日判決は、同性カップルの一方(Aといいます)が先に亡くなった場合において、残された側(原告といいます)が喪主を務めたいとの希望が亡くなった方の妹(被告といいます)の子どもから拒否され、Aをねんごろに弔う機会を奪われたということで被告に損害賠償請求をした訴訟の判決です。
裁判所は、被告はAの葬儀の際に被告の子から親族待合所に入ることを断られ一般参列者として葬儀に参列した、被告は原告に火葬場の場所を教えず原告はAの火葬に立ち会うことができなかったことを認定します。
その上で、裁判所は、原告の敬愛思募の念を侵害する不法行為が成立するためには、被告において、各行為の時点で、原告とAが同性パートナーシップ関係であり、夫婦と同視すべき関係であることを認識していたことが必要だとし
ます(同視すべき関係であったことを知ることができた場合も認識していた場合と同視すべきようにも思われますが、当該訴訟で原告はそのような主張をしなかったようです)。
そして、裁判所は、Aが親族に対し原告が同性パートナーシップ関係にあることを隠し、実際と異なる説明をしていたとして、不法行為は成立しないとしました。

同判決からしても、被告において、原告とAがパートナーシップ関係にあったことを認識していた場合において、喪主などをさせなければ直ちに不法行為が成立するとは言い切れないように思います。
しかし、葬儀や火葬は、遺体が1つしかない以上、被告が勝手にやればいいというものではありません。
そうであれば同性カップルにおいても、同性カップルとして夫婦同様であることが周知されていたような場合については、親族等において火葬場への立ち合いなどについて一定の配慮が必要と考えます。
しかし、喪主については、法律上、必ずしも明確な基準が定められているものではなく、夫婦のような同性カップルであればただちに喪主とすべきとの言い難いように思います。
このようなトラブルを防ぐためには、予め遺言書で喪主を指定しておくなどの対応が有用だろうと考えます。

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