民事再生法と解雇 

労災、解雇問題

1 レナウン子会社ダーバン宮崎ソーイングの民事再生法適用申請と解雇

報道によると、6月9日、レナウンの子会社であるダーバン宮崎ソーイングが民事再生法の適用を決め、従業員を解雇することになったとのことです。
民事再生法適用等倒産の場合には解雇はやむを得ないと考えられがちです。
しかし、実際には解雇無効とされることもありますし、私も代理人として民事再生法が適用された会社からの解雇を争い、解決金の支払を得たこともあります。
以下、民事再生法適用と解雇について解説します。

2 民事再生法適用申請と解雇

会社更生法下の日本航空における整理解雇の効力を判断した東京地裁平成24年3月30日判決は、以下のとおり述べて、法的整理手続きにおいても整理解雇法理に基づき整理解雇の有効性が判断されるべきだとしました。

「本件解雇は,被告の就業規則52条1項(4)の「企業整備等のため,やむを得ず人員を整理するとき」(甲4)を理由とする整理解雇であるところ,上記1で判示したとおり,会社更生手続下における整理解雇についても,いわゆる整理解雇法理の適用があると解するのが相当である。」
「したがって,本件解雇の効力を判断するに当たっても,本件解雇にいわゆる整理解雇法理の適用があるとの前提で,以下,① 人員削減の必要性の有無,程度,② 解雇回避措置の有無,程度(解雇回避措置実施の有無,内容等),③ 人選の合理性の有無(本件人選基準の合理性等),④ 解雇手続の相当性(労使交渉の経緯,不当労働行為性等も含む。)を具体的に検討し,これらを総合考慮するのが相当である。」
「被告は,本件解雇に整理解雇法理を適用するとしても,本件解雇が複数の利害関係人の犠牲と負担とを強いながら,公的資金も投入されての会社更生手続下の整理解雇であるという事案の特殊性から,その適用判断に当たっては,通常の労使関係における整理解雇法理の適用判断の際よりも,適用要件を緩和すべきである旨主張するが,被告の指摘する上記事情は,整理解雇法理の判断枠組み自体を否定したり,適用要件を緩和したりするほどの事情とはなり得ないというべきであり,当該事情は,各要素の検討判断において考慮すれば足りるものと解するのが相当である。」

このような考え方は民事再生法にも妥当しますし、実際に民事再生法適用申請がなされた会社について整理解雇が無効とされた事例もあります。

例えば、民事再生法適用申請をした会社(紡績業)における整理解雇の有効性が問題となった名古屋高裁平成18年1月17日判決は、以下のとおり述べて、整理解雇を無効としました。
〇人員削減の必要性
「控訴人において,紡績業の継続を前提とした再生計画案は立案が困難で,廃止がやむなく,人員削減の必要性があることを主張立証すべきであ」るが、これがない。
〇解雇回避の努力がない。
〇解雇前に紡績業の継続が困難であるとの従業員への説明が不十分(十分されたという主張は許されない)

実際、民事再生法適用申請案件では整理解雇のハードルが下がるのは間違いありませんが、ただちに解雇有効になるわけではありません。
解雇に納得がいかない方は弁護士に相談してみてください。

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