あつ森のRMTの法的効果

さいとうゆたか弁護士

1 ちゃちゃまる5000円で人身売買 あつまれどうぶつの森のリアルマネートレーディング・RMT

Nintendo Switchのゲーム、「あつまれ どうぶつの森」が人気ですが、ちゃちゃまるやジャックなどの人気キャラクターが現実の通貨などで売買されていること、つまりRMTが問題視されています。

以下、人気キャラクターのRMTの法的効果について検討します。

2 ニンテンドーネットワーク利用規約の内容

ニンテンドーネットワーク利用規約は以下のとおり定めます。

2条 本規約を遵守することを条件として、お客様には、別途明示的な定めがある場合を除き、お客様のニンテンドーネットワーク機器もしくはその周辺機器またはニンテンドーネットワーク上でのみニンテンドーネットワークコンテンツを使用することができる権利が許諾されます。

 

このように、利用規約に従う範囲内においてコンテンツを利用する権利があるとされています。

また、9条では、「お客様は、ニンテンドーネットワークおよびニンテンドーネットワークコンテンツに関して、リアルマネートレード(ポイントやその他の仮想通貨等を現実の通貨で売買する行為をいいます。)を行うことはできません」としています。

コンテンツについてのRMTを禁止しているわけです。

ですからRMT自体は債務不履行ということになります。

3 RMTの法的効果

それではRMTの効果はどうなるでしょうか?

まず、利用者が人気キャラクターを含むニンテンドーネットワークコンテンツを使用する権利は、任天堂と利用者との間の契約に基づく債権だと考えられます。

そして、RMTは、その債権を譲渡する行為と考えられます。

しかし、RMTは禁止されていますので、当事者間においてはキャラクターなどを利用する債権の譲渡が禁止されているわけです。

2020年4月1日から改正債権法が施行されましたが、その改正された債権譲渡の条文は以下のとおりです。

第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
  つまり、原則として債権譲渡の制限特約は当事者間でのみ効力を有し債権の譲受人は債権譲渡の効力を主張できる、しかし譲受人が債権譲渡が制限されていることを知っていた場合には債務者は債権の譲受人に対する債務の履行を拒むことができるということです。
  RMTにおいて、譲受人も動物の森の利用者であり、規約が適用されると考えられます。
  そうであれば、キャラクターなどを利用する債権の譲渡が禁止されていたことを知らなかったとは主張できず、民法466条3項により、任天堂としては譲受人に対してキャラクターなどを利用させる債務の履行を拒否できると思われます。
  よって、せっかくRMTで入手しても、任天堂の措置によりキャラクターが利用できなくさせられても文句は言えないということになります(任天堂側にとってはRMTによる入手者をどう特定できるのか等のハードルはありますが)。
  RMTについてはリスクがあることに注意が必要です。

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