河井案里氏秘書に懲役刑の判決言い渡し 

さいとうゆたか弁護士

本日、河井案里氏秘書が、買収の公職選挙法違反に問われた事件について、広島地裁は、懲役1年6月、執行猶予5年の刑を言い渡しました。

公職選挙法は以下のとおり定めます。

第二百五十一条の二 次の各号に掲げる者が第二百二十一条、第二百二十二条、第二百二十三条又は第二百二十三条の二の罪を犯し刑に処せられたとき(第四号及び第五号に掲げる者については、これらの罪を犯し禁錮以上の刑に処せられたとき)は、当該公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(以下この条において「公職の候補者等」という。)であつた者の当選は無効とし、かつ、これらの者は、第二百五十一条の五に規定する時から五年間、当該選挙に係る選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)において行われる当該公職に係る選挙において公職の候補者となり、又は公職の候補者であることができない。この場合において、当該公職の候補者等であつた者で衆議院(小選挙区選出)議員の選挙における候補者であつたものが、当該選挙と同時に行われた衆議院(比例代表選出)議員の選挙における当選人となつたときは、当該当選人の当選は、無効とする。
一 選挙運動(参議院比例代表選出議員の選挙にあつては、参議院名簿登載者(第八十六条の三第一項後段の規定により優先的に当選人となるべき候補者としてその氏名及び当選人となるべき順位が参議院名簿に記載されている者を除く。)のために行う選挙運動に限る。次号を除き、以下この条及び次条において同じ。)を総括主宰した者

五 公職の候補者等の秘書(公職の候補者等に使用される者で当該公職の候補者等の政治活動を補佐するものをいう。)で当該公職の候補者等又は第一号若しくは第三号に掲げる者と意思を通じて選挙運動をしたもの

よって、選挙運動を総括などする立場の者、そのような立場の者と意思を通じて選挙運動をした秘書などが買収(221条等)を行ったとして禁固以上の刑に処せられると、当選人は失職することになります。
懲役は禁固以上とされます。
執行猶予の場合でも、「処せられた」とされます。

本件において、秘書が選挙運動を総括する立場である等と認められたとすると、案里氏は公職選挙法251条の2により失職することになります。

今後は、秘書が控訴したので、控訴審の審理が行われますが、通常事件より早く審理がなされます。

最終的に刑事判決が確定すると検察官が行政訴訟を起こし(公職選挙法211条により、検察官は、刑事の判決確定から30日以内に、失職を求める行政訴訟を起こさなければならないとされています)、そこで案里氏失職の判決が出る可能性が高いと思われます。

重大な法違反に関わるものですので、検察官の迅速な対応が求められます。

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