Zoomセクハラの違法性

さいとうゆたか弁護士

1 霜降りせいやさんのZoomセクハラ報道

 

霜降りせいやさんが、Zoomで面識のない人に自慰行為を示したとして報道されています。

この件については、経過自体に争いがあり、霜降りせいやさんの行為が非難に値するかどうかは不明です。

しかし、Zoomによる、特定少数に向けた自慰行為が違法となるかどうかという重要な法的論点を含んでいますので、以下、検討します。

 

2 Zoomセクハラの刑事責任

刑法第百七十四条は、「公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」としています。

同条は、公然性を要件としており、不特定多数の前でのわいせつ行為が必要となりますので、Zoomで特定少数に向けて自慰行為をしたことは公然わいせつ罪には該当しないと思われます。

また、各地の迷惑防止条例に違反する可能性はあります。

  例えば、埼玉県迷惑行為防止条例第十条は、「何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、不安又は迷惑を覚えさせるような行為であつて、次の各号に掲げるもの(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成十二年法律第八十一号)第二条第一項に規定するつきまとい等を除く。)(第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、同条第三項に規定する方法により行われる場合に限る。)を反復してしてはならない。・・・八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと」としています。
  ですから、相手方の同意もないのに、反復してZoomによりわいせつ画像を送付するなどした場合、埼玉県ではあれば迷惑行為防止条例に反することになります。
  しかし、ライブで公然わいせつ行為をする場合、「物」はありませんし、「記録」もないので、迷惑行為防止条例に違反しない可能性があります。

3 Zoomセクハラの民事責任

  東京地裁平成17年4月27日判決は、未成年の養子に対する自慰行為見せつけのケースですが、「被告は,家で度々猥褻なビデオを見ており,家族が帰宅した際にはビデオを止めていたが,それが原告だった場合には,ビデオを付けたまま自慰行為を続け,「Gちゃん,早くティッシュとって」「気持ちがいいから早く早く」などと言うことさえあった(以下「本件第2の行為」という。)」などとして不法行為を認め、被告に損害賠償を命じました。
  Zoomで自慰行為を見せつける行為は、相手が同意していない状況等においては不法行為として損害賠償責任が生じることがあるという事になります。

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