遷延性意識障害・植物状態と後見人報酬・後見人費用(交通事故)

さいとうゆたか弁護士

1 交通事故と後見人費用

交通事故で被害者に重度な後遺障害が残り、意思能力が失われたような場合、成年後見人の選任が必須となります。
成年後見人がいなければそもそも交通事故の示談も不可能です。
特に遷延性意識障害・植物状態の場合、成年後見人の選任が必須です。
以下、このような成年後見人に絡む費用が賠償されるのか見ていきます。

2 遷延性意識障害・植物状態と後見人費用の賠償

後見人に関わる費用としては、後見申立費用と後見人報酬の2つが主なものとなります。
後見人申立費用については、その弁護士費用10万円程度について賠償対象となる可能性があります。
後見人報酬についても、これまでの裁判例で認められてきました。
例えば、東京地裁平成28年9月6日判決は、以下のとおり、親族の成年後見人報酬と成年後見監督人報酬について賠償対象としました。

「成年後見人費用 566万5304円
本件事故がなければ原告X1の財産から原告X2に報酬が支払われることはなかったといえるから,同報酬は本件事故によって発生した損害と認められる。この点について被告らは,成年後見人として選任されたのが原告X1の親族であることを理由に損害の発生を争うが,理由がない。また,被告らは,成年後見人費用と将来介護費が重複する可能性があるとか,原告X1が管理能力を有しないことに起因して生じる費用は後遺障害慰謝料の中で評価されていると主張するが,成年後見人費用(報酬)と介護費は別の損害であるし,成年後見人費用(報酬)が後遺障害慰謝料の中で評価されているともいえないから,被告らの主張は理由がない。」
「もっとも,今後,原告X2にいくら報酬が支払われるかは不明であるから,本件事故と相当因果関係のある成年後見人費用(報酬)は控え目に算定するのが相当である。
よって,本件事故と相当因果関係のある成年後見人費用(報酬)は,平成29年3月分までの報酬209万6000円((計算式)=80万円+43万2000円×3)及び同月以降月額2万円により算定した356万9304円(計算式は以下のとおり)の合計額と認める。
(計算式)=2万円/月×12月×(18.4181-3.5460(4年のライプニッツ係数))」
「成年後見監督人費用 157万7000円
本件事故がなければ原告X1の財産からB弁護士に報酬が支払われることはなかったといえるから,同報酬も本件事故によって発生した損害と認められる。この点について被告らは,成年後見監督人費用は原告X2が独自の損害を賠償請求するために生じた費用であると主張するが,本件全証拠によってもそのようには認められない。
もっとも,今後も東京家裁が成年後見監督人を必要と認めるかは不明であるから,本件事故と相当因果関係のある成年後見監督人費用は,平成29年3月分までの分に限り,これを認める(計算式は以下のとおり)。
(計算式)=30万円+35万円+30万9000円×3」

弁護士成年後見人の費用も賠償の対象となりえます。

さいとうゆたか法律事務所では、遷延性意識障害・植物状態の被害者の方の後見関係の対応もいたしますので、ご親族はお気軽にご相談ください。

 

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