ツーブロック禁止校則の違法性

さいとうゆたか弁護士

1 ツーブロック禁止校則についての東京都教育長の答弁

東京都議会予算特別委員会で、教育長がツーブロック禁止校則について不合理な理由で擁護しているとして大きな反響を呼んでいます。
ツーブロック禁止校則は許されるものなのでしょうか?

2 髪型についての裁判例

この点、熊本地裁昭和60年11月13日判決は、いわゆる丸刈り校則について以下のとおりの判断を示しています。

まず、「本件校則の内容が著しく不合理であるか否かを検討する。確かに、原告ら主張のとおり、丸刈が、現代においてもつとも中学生にふさわしい髪形であるという社会的合意があるとはいえず、スポーツをするのに最適ともいえず、又、丸刈にしたからといつて清潔が保てるというわけでもなく、髪形に関する規制を一切しないこととすると当然に被告町の主張する本件校則を制定する目的となつた種々の弊害が生じると言いうる合理的な根拠は乏しく、又、頭髪を規制することによつて直ちに生徒の非行が防止されると断定することもできない。」として、丸刈りを強制する合理性が高くないとします。

ところが、同判決は、「しかしながら、本件校則の定めるいわゆる丸刈は、前示認定のとおり時代の趨勢に従い特に都市部では除々に姿を消しつつあるとはいえ、今なお男子児童生徒の髪形の一つとして社会的に承認され、特に郡部においては広く行われているもので、必らずしも特異な髪形とは言えないことは公知の事実であり、前出乙第三号証、証人中島正士の証言及び被告校長本人尋問の結果によれば、本件中学において昭和四〇年の創立以来の慣行として行われてきた男子丸刈について昭和五六年四月九日に至り初めて校則という形で定めたものであること、本件校則には、本件校則に従わない場合の措置については何らの定めもなく、かつ、被告校長らは本件校則の運用にあたり、身体的欠陥等があつて長髪を許可する必要があると認められる者に対してはこれを許可し、それ以外の者が違反した場合は、校則を守るよう繰り返し指導し、あくまでも指導に応じない場合は懲戒処分として訓告の措置をとることとしており、たとえ指導に従わなかつたとしてもバリカン等で強制的に丸刈にしてしまうとか、内申書の記載や学級委員の任命留保あるいはタラブ活動参加の制限といつた措置を予定していないこと、被告中学の教職員会議においても男子丸刈を維持していくことが確認されていることが認められ、他に右認定に反する証拠はなく、又、弁論の全趣旨によれば現に唯一人の校則違反者である原告顕一郎に対しても処分はもとより直接の指導すら行われていないことが認められる。右に認定した丸刈の社会的許容性や本件校則の運用に照らすと、丸刈を定めた本件校則の内容が著しく不合理であると断定することはできないというべきである。」として、丸刈り校則は違法ではないとしています。

つまり、丸刈りについての社会通念、丸刈りにしない場合の強制もないことから、丸刈り校則も違法ではないとしています。

3 ツーブロック禁止校則は認められるべきか

上記の裁判例からしても、ツーブロックにした場合に制裁があるような校則であれば違法とされる可能性が高いでしょう。
問題は、そこまでの規制をしない場合です。
そもそも子どもも含め、人は自己決定をすることができます(憲法13条)。
その一環として髪型の自由も認められます。
この自由は無制約ではありません。
また、未成年者については、その判断に任せることにより未成年者自身を害するような場合には成人には許されない制約も許されることになります(限定されたパターナリスティックな制約)。
そうはいっても、ツーブロック禁止校則について教育長の述べる理由(事故に遭う可能性が高くなるなど)は一見して合理性がないようにも思われますし、現代においては生徒について特定の髪型を強制するという習慣はかなり稀になっています。よって、髪型の自由を禁止することを正当化するような事情が見当たらないように思われますし、そのような状況下においてツーブロック禁止校則については違法性、違憲性の疑いがあると言わなくてはならないと思います。
東京都教育委員会や各学校には今回の騒動をきっかけに、時代に合わせた判断をしていただきたいと思います。

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