GoToトラベルで東京対象外、高齢、若者団体除外は差別か?

さいとうゆたか弁護士

1 GoToトラベルで東京発着除外方針 高齢者の団体旅行も対象外

報道によると、政府はGoToキャンペーンの運用を見直し、新型コロナの陽性者が急増している東京発着の旅行について除外する方針を固めたとのことです。
高齢、若者の団体旅行除外との報道もされています。
補助金について特定地域の人のみ除外するという前例のない措置ですが、このような措置は憲法14条の平等原則上問題はないのでしょうか?

2 東京除外等と平等原則

憲法14条の平等原則は、公からのお金の支給についても適用されます。
この点、朝鮮高校生就学支援金不支給違憲損害賠償請求事件についての名古屋地裁平成30年4月27日判決は、以下のとおり述べて、朝鮮高校生について就学支援金が支給されなかったことについて、合理的な区別であるとして、憲法14条に違反するものではないとしています。

「憲法14条1項は,法の下の平等を定めているが,この規定は合理的理由のない差別を禁止する趣旨のものであって,各人に存する経済的,社会的その他種々の事実関係上の差異を理由としてその法的取扱いに区別を設けることは,その区別が合理性を有する限り,何らこの規定に違反するものではない(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁,最高裁平成10年(オ)第2190号同14年11月22日第二小法廷判決・集民208号495頁参照)。しかして,前記4の認定判断のとおり,本件不指定処分は,愛知朝鮮高校について本件規程13条の要件に適合すると認めるに至らなかったこと,すなわち,朝鮮総聯が愛知朝鮮高校に対して不当な支配を行っているとの合理的疑いが存在することを理由としてなされたものであり,合理的な理由に基づくものであるから,憲法14条1項に違反するとは認められない。」

GoToトラベルについては、現時点で行うことについての批判はあるものの、新型コロナで旅行業者が大変な苦境にあることを考えるとおよそありえない政策とまでは言えないと思います。
そして、そのGoToトラベルから東京発着の旅行が除外されたのは、東京において新型コロナウイルスが蔓延しており、そのため東京発着の旅行により新型コロナウイルスが全国に広がるという批判があったからであり、一応の合理性は肯定できると思います。
そうはいっても、東京都以外でも新型コロナウイルスが蔓延しつつある都道府県があるのに、東京都だけ除外することは合理性を欠くとされる可能性もあるでしょう。

以上より、東京除外については、平等原則との関係で問題をはらみつつ、一応合理性があるものとして憲法14条との関係では正当化されうるのではないかと考えます。

高齢、若者団体除外については、団体旅行において宴会等の機会に新型コロナ感染の機会があることは理解できるとしても、旅行時に高齢者、若者が多く感染するとの裏付けがあるかどうかも疑問であり、このような年齢層を理由とした差別については合理性がないとして違憲の疑いが濃厚に残ると考えます。

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