高次脳機能障害と逸失利益(交通事故)

さいとうゆたか弁護士

1 交通事故と逸失利益

交通事故で後遺障害が残った場合、その等級に応じた労働能力喪失があったとして逸失利益の賠償が認められることがあります。
典型的には後遺障害により収入が下がったような場合に逸失利益が認められることがありますが、収入が下がっていなくても特別の努力で収入を維持しているような場合には逸失利益の賠償が認められることになります。
また、自賠責での後遺障害等級以上の逸失利益の賠償が認められることもあります。
高次脳機能障害についても、それが仕事に支障を及ぼす程度が強いため、収入が下がっていなくても逸失利益の賠償が認められたり、自賠責での後遺障害等級以上の逸失利益の賠償が認められることもあります。
以下、見ていきます。

2 高次脳機能障害と逸失利益

東京地裁平成17年7月25日判決は、以下のとおり述べて、併合7級の高次脳機能障害の被害者について、賃金が上昇しているものの、本人の多大な努力等によるものであるとして、56%の労働能力が喪失した前提での逸失利益を認めています。

「原告Aは,現在は電話での受注業務をこなしていること,強制笑いの発作は現れなくなったこと,給与は本件事故前より上昇していることが認められるものではあるが(前記ア(イ)),原告Aの知能指数は96となっていること,原告Aが,仕事を継続し,それなりの収入を得ているのは,勤務先の会社の理解と原告Aの多大な努力とによる部分が大きいこと,原告Aの今後の昇進については相当に困難であると考えられることからすると,原告Aの労働能力は,67歳までの間56パーセント喪失したと認められるのである。」

また、岡山地裁倉敷支部平成14年6月28日判決は、「自分が言った内容や行った動作をすぐに忘れたり,日時や場所が分からなくなったりすること,初めての物の使用方法等の理解力は極めて低いこと
,単純な作業でも長時間の持続が困難で,複雑な行動や複数の行動の同時遂行は不可能であること,授業中に理由もなく急に外へ出たりするなど,環境の中における自己の存在を十分に認識できず,新しい環境の中に入った時や環境が変化した時にこれらに対応することができないこと,家庭や学校での日常生活でストレスが負荷されると,すぐに怒ったりすること,会話中に自分の考えと異なった展開になった時や,通常の会話中に,すぐに興奮し,怒り,これが発展して相手を殴ったり,壁を叩いたりすること,自分が物を忘れても,他人が盗んだり隠したりしたというように絶えず被害妄想的な発想を行うこと,思考・行動でストレスが負荷されると,それ以上は行おうとせず,消極的思考や態度をとること,自己中心的で,自己の主張以外のものを認めようとしないこと,高等学校在学中の学業能力について,一般の高校3年生の4分の1のレベルに達していないと評価されていた」として、自賠責での後遺障害は5級でしたが、3級前提で逸失利益を算定しています。

このように、高次脳機能障害については、仕事をする能力が強力に阻害されることから、減収がない場合でも逸失利益の賠償が認められたり、自賠責の等級以上の逸失利益の賠償が認められることもあるので、後遺障害等級や収入の増減という形式面だけではなく、就労における努力や就労への支障を実態に即して主張立証することが重要となります。

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