脊髄損傷(四肢麻痺、両下肢麻痺)と将来介護費(交通事故)

さいとうゆたか弁護士

1 交通事故と将来介護費

交通事故で重大な後遺障害が残り、介護が必要となった場合、将来介護費が賠償されることがあります。

特に脊髄損傷(四肢麻痺、両下肢麻痺)については高い確率で将来介護費の賠償が認められることになります。

 

2 脊髄損傷(四肢麻痺、両下肢麻痺)と将来介護費

大阪高裁平成16年6月10日判決は、両上肢麻痺等の被害者について、職業付添人による介護を前提に、日額1万6000円の介護費用の賠償を認めています。

このケースにおいては、被害者の妻が介護をしていましたが、それは経済的負担を考慮してのことでした。

そこで、判決は、「一審原告X1の状況は,後遺障害等級第1級と重篤であり,将来にわたって常時介護が必要であるが(甲19),一審原告X2は現在56歳であること(甲5),一審原告X2ができる限り自らが一審原告X1の介護をしようとしているのは経済的負担を考慮しているにすぎず,本来であれば,職業介護人による介護を利用したいと考えていること(甲124,弁論の全趣旨)に照らせば,一審原告X2による介護と上記訪問看護,在宅介護サービス及びデイサービスの利用を併用することを前提に将来介護費用を算定するのは相当ではなく,職業介護人による介護を前提として,将来介護費用を算定するのが相当である。」「一審原告X1の将来介護費用としては,日額1万6000円を認めるのが相当である。」、「一審原告X1は,症状固定時において満59歳であり,平均余命は約22年であるから,そのライプニッツ係数は13.1630である。したがって,将来介護費用の現価は次のとおり7687万1920円となる。

また、大阪地裁平成19年4月10日判決は、四肢麻痺等で1級の後遺障害が残った被害者について、体重90キログラムであることなどから、職業介護1・5人分2万1000円と妻8000円の計2万9000円、60歳以降は職業介護2人分日額2万8000円の将来介護費の賠償を認めました。

大阪地裁平成31年1月30日判決は、脊髄損傷による四肢麻痺(2級)の被害者について、当面は親族による介護費用1日6000円、親族が高齢となり介護が困難になった場合の職業介護人の介護費用として1日8000円を認めました。

脊髄損傷(四肢麻痺、両下肢麻痺)については、被害者の状況に応じて複数人分の介護費が認められたり、家族介護をしていても将来介護費として職業介護人分の費用が認められることもありますので、必要な介護の質・量などについての丁寧な主張立証が必要です。

名古屋地裁令和3年6月18日判決は、外傷性胸髄損傷による立位歩行不可,排尿便障害及び重度体幹下肢感覚障害等の1級1号に該当する重い後遺障害を抱えている被害者について、1日1万円の将来介護費を認めており、介護費用が比較的低廉となっています。

しかし、この事案では、被害者は、「更衣,摘便,入浴,食事等といった日常生活も,外出や稼働といった社会生活もほとんど1人でできている状態で,現在のところ1人暮らしをしてい」たものであり、そのような特殊性が介護費用に反映したものと考えられます。

横浜地裁令和2年1月9日判決も、当面は職業介護人による介護が必要と思われないものの、将来的には必要と思われる脊髄損傷(完全対麻痺、1級)の被害者について、日額1万円のみ介護費用の賠償を認めているところです。

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