東京都医師会の意見を尊重し、新型インフルエンザ特別措置法改正・緊急事態宣言再発令を 

さいとうゆたか弁護士

1 東京都医師会会長の記者会見

本日、東京都で367人の新型コロナウイルス感染者が確認されました。

確かに、重症者は一時より少ないかもしれません。

しかし、このまま感染者が増え続ければ重症者も増えていくことは必定です。

そのような状況で、本日、東京都医師会の尾崎会長は、記者会見を行い、以下の要請を行いました。

〇法的強制力を持った補償を伴う休業要請を、限定地域で期間(14日間程度)を定めて行う→ 特措法改正等が必要かもしれないが、条例等都道府県単位で対応できるよう国からの種々の支援が必要

新型コロナウイルスが増えつつある東京の医師会がこのような要請をしたことは大いに尊重されなくてはなりません。

 

2 法的強制力のある休業要請制度は合憲

現行の新型インフルエンザ特別措置法においては、緊急事態宣言発令後、特定都道府県知事において施設の使用制限要請・指示などを行うことができます。

東京都医師会の求める休業要請等については、従わない場合には二の矢として指示をなしうる新型インフルエンザ特別措置法上の緊急事態宣言を発令した上で同法に基づいて行うのが現行法上はもっともすぐれていると思われます。

しかし、同法による指示に違反した場合でもペナルティはありませんので、実効性を持たせるためには、違反の場合には刑罰等を科するとの規定、順守の場合には補償を行うとの規定を設ける必要があるでしょう。

この点、休業要請を強制することは営業の自由(憲法22条)を制約するとはいえます。

しかし、新型コロナウイルス感染防止のための休業要請・指示をしても従わないような場合に初めて罰則が適用されるようであれば、新型コロナウイルス蔓延防止という重要な公共の利益のため必要かつ合理的な規制として合憲となると考えられます。

また、休業要請に従った場合の補償は、財産権が制限された場合の損失補償を規定する憲法29条3項の趣旨に適うものと考えられます。

よって、休業指示に従わない場合に罰則を科し、従った場合には補償を行うという法改正は憲法上可能であり、要請されるところだといえます。

あとは政治決断だけです。

政府は、速やかに国会を開き、新型インフルエンザ特措法に必要な改正を行うべきでしょう。

生命を守るため立法が必要であることが明らかな場合に必要な立法を行わない場合には立法不作為として違法評価されることもありうることも踏まえ、政府は迅速かつ真摯に取り組むべきです。

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