脊髄損傷(四肢麻痺、両下肢麻痺)と入院慰謝料(交通事故)

さいとうゆたか弁護士

1 交通事故と入院慰謝料

交通事故で入院を要する場合、入院期間に応じた慰謝料が支払われます。
「交通事故損害額算定基準ー実務運用と解説ー2020」(いわゆる青本)では、以下のとおりです
1月   32から60
2月   63から117
3月   92から171
4月   115から214
5月   135から252
6月   153から284
7月   168から312
8月   181から336
9月   191から356
10月  200から372
11月  207から385
12月  212から395
13月  217から403
14月  221から408
15月  225から413

そして、脊髄損傷があるような場合、この上限の2割程度まで基準額を増額してよいとされます。

「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)2020」(いわゆる赤本)では、以下のとおりです。
1月  53
2月  101
3月  145
4月  184
5月  217
6月  244
7月  266
8月  284
9月  297
10月 306
11月 314
12月 321
13月 328
14月 334
15月 340

そして、傷害の程度により金額を20から30%程度増額するとされています。

それでは、脊髄損傷(四肢麻痺、両下肢麻痺)については、どのような基準で慰謝料が算定されているでしょうか?

2 脊髄損傷(四肢麻痺、両下肢麻痺)と入院慰謝料

脊髄損傷被害者が345日入院した事例についての神戸地裁平成27年9月3日判決は、以下のとおり述べ、405万円の入院慰謝料を認定しています。

「原告X1の受傷の内容・程度,入院日数に加えて,上記争いのない事実のとおり,被告は,本件事故後,現場に警察が到着する前に倒れた原告X1を残したまま事故現場を離れ,加害車両のすり替えを行い,同乗者の存在を隠し,臨場した警察官に虚偽の申告をしたことが認められ,このような被告の本件事故後の行為は悪質であることを考慮すると,入院慰謝料は,405万円を認めるのが相当である。」

このケースでは、赤本の上限より20から30パーセント増額、青本の上限より数パーセントの増額をしています。
ただし、加害者の悪質さがどの程度反映しているのかは不明です。

脊髄損傷被害者が257日入院した事例についての東京地裁平成22年9月30日判決は、「本件事故による傷害の内容、入院期間、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、入院慰謝料は350万円が相当であると認められる。」として請求額と同額の350万円の慰謝料を認めました。
これは赤本の2割増し、青本上限の数%増しとなります。

脊髄損傷被害者が約8月入院したケースについての大阪地裁平成15年7月4日判決は、228万円を相当としました。これは赤本基準よりも低いものです。

脊髄損傷被害者が約13月入院したケースについての名古屋地裁平成11年7月19日判決は、慰謝料を288万としました。これも赤本基準より低いものです。

以上、脊髄損傷被害者についてはむしろ赤本基準より低い慰謝料額しか認められない事例もあります。
しかし、重大な傷害であり、入院中も自由が大きく制約される脊髄損傷の被害者については、最低でも東京地裁平成22年9月30日判決レベル、つまり赤本2割増し程度を目指すべきでしょうし、自由度の制限の大きさなどを立証して青本上限2割増しも目標にすべきものと考えます。

 

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