セクシャルハラスメントと労災

さいとうゆたか弁護士

1 セクハラと労災

業務による心理的負荷が重く、精神疾患となった場合には労災として認定されます。

セクシャルハラスメントでも心理的負荷が重いと評価される場合、労災となることがあります。

この点、厚生労働省の業務による心理的負荷評価表は、

・心理的負荷が中となる場合として

「胸や腰等への身体接触を含むセクシャルハラスメントであっても、行為が継続しておらず、会社が適切かつ迅速に対応し発病前に解決した場合」

「身体接触のない性的な発言のみのセクシャルハラスメントであって、発言が継続していない場合」

「身体接触のない性的な発言のみのセクシャルハラスメントであって、複数回行われたものの、会社が適切かつ迅速に対応し発病前にそれが終了した場合」

・心理的負荷が強となる場合として

「胸や腰等への身体接触を含むセクシャルハラスメントであって、継続して行われた場合」

「胸や腰等への身体接触を含むセクシャルハラスメントであって、行為は継続していないが、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった又は会社への相談等の後に職場の人間関係が悪化した場合」

「身体接触のない性的な発言のみのセクシャルハラスメントであって、発言の中に人格を否定するようなものを含み、かつ継続してなされた場合」

「身体接触のない性的な発言のみのセクシャルハラスメントであって、性的な発言が継続してなされ、かつ会社がセクシャルハラスメントであると把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった場合」

を挙げています。

2 セクハラと労災についての裁判例

札幌地裁令和2年3月13日判決は、「Bは,平成27年6月27日から同年8月25日までの間,原告に対し,①原告が気持ち悪さを感じるような態様で,その頭を3回なでた,②「この匂い,X1さん?」と言いながら,原告の胸や脇の辺りに顔を近づけて匂いを嗅いだ,③菓子を口に含んだ上,顔を原告に近づけて,口移しをするようなしぐさをした,④原告の容姿につき「眼鏡を外した方がかわいいよ」,「かわいい」などと言った,⑤「X1さん,うまいしょう」,「ねえ,ここでして,ここでしてよ。」などと言いながら股間部分を指差して性行為(口淫)を求めたものである。」との事案において、「胸や腰等への身体接触を含むセクシュアルハラスメントであって,行為は継続していないが,会社に相談しても適切な対応がなく,改善されなかった又は会社への相談等の後に職場の人間関係が悪化した場合」に該当するとして、精神疾患の罹患が労災に該当するとしました。

このように、セクシャルハラスメントをめぐる労災では心理的負荷評価表へのあてはめが基本となり判断がなされることになりますので、労災申請や訴訟をする場合にはあてはめを意識することが重要です。

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