祖父母との面会交流

1 祖父母との面会交流について

子どもと別居している親が子どもと面会交流を求める場合に、別居している親の両親つまり、子どもにとっての祖父母との面会も求めることがあります。
このような要求は認められるのでしょうか?

2 祖父母との面会交流を認めた裁判例

東京高裁昭和52年12月9日決定は、未成年者を養育していた祖父母に対し、未成年者の父が祖父母に未成年者の引き渡しを求めた事件についての決定ですが、以下のとおり述べ、未成年者の引き渡しを認めることを前提に、祖父母と未成年者との面会交流を認めています。

「その引渡し方法は、前記事情のもとでは、月一度以上の相手方宅に宿泊させることを伴なう相手方及びその妻瑞恵(父及び養母)との面接交渉を少なくとも四回以上持つた上で完全に引き渡し、その後事件本人らが相手方宅が真実の住居であることを自ら納得し自らの意思で相手方に帰宅するようにするため、その引渡のあつた日から二か月以内に少なくとも一度以上抗告人方に宿泊させ、抗告人らと面接交渉をもたせることが相当である。」

ここで抗告人方というのが祖父母方ということになります。

同事案は、父からの引き渡し請求に伴い、子どもが父の家に帰宅するようにするために面会交流をさせるという特殊なものではあります。
しかし、子の福祉のために必要な場合には、裁判所において祖父母との面会交流を命ずることもありうることを示すものと言えると考えます。

この点、民法第766条3項は、「家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。」としています。
よって、法律の条文上も、祖父母との面会交流を命ずる裁判はありうると考えられます。

しかし、最高裁令和3年3月29日決定は、民法766条3項によっても父母以外の者が面会交流の申立てをすることはできないとしています。ですから、祖父母による面会交流の申立はできません。立法的解決がなされるまでの間は、祖父母の面会交流を求めるについても父母の申立てによらざるを得ないでしょう。

【令和4年6月30日追記】

法制審家族法部会の令和4年6月21日の会議に出された中間試案たたき台では、「親以外の第三者が、親権者との協議により、子との面会その他の方法による交流をすることができる旨の規律を設けるものとし、その要件等について引き続き検討するものとする」としています。

要件については、親族に限る、過去に子どもと同居していた者に限る、子の最善の利益のために必要がある等の考え方があります。

この点、祖父母と孫の交流自体一般に孫にとって良い心理的影響を与えると思われることから、祖父母と孫が定期的に交流していた場合において、その交流に特に問題がなかったのであれば、幅広く面会を認める要件が求められると考えられます。

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