車内で姉妹死亡(熱中症)、母親の刑事責任は?

さいとうゆたか弁護士

香川県で姉妹2人を放置したとして母親逮捕、刑事責任は?

報道によると、香川県で、9月3日、車内に放置された姉妹が熱中症で死亡した事件について、母親が保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕されたとのことです。

まずは亡くなった2人の姉妹のご冥福をお祈りします。

母親は黙秘しているとのことですし、真相は不明です。

しかし、母親が、子ども2人を車内に放置し、熱中症で死亡させた場合には、保護責任者遺棄致死罪が成立する可能性があります。

刑法は以下のとおり定めます。

(保護責任者遺棄)
第二百十八条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
(遺棄等致死傷)
第二百十九条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(傷害罪)
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

ですから、幼年者を保護する責任のある母親が幼年者を遺棄し、あるいは生存に必要な保護をしなかった結果、幼年者が死亡した場合、保護責任者遺棄致死罪として15年以下の懲役に処せられうることになります。

2 熱中症で保護責任者遺棄致死罪に問われた事例の量刑

例えば、静岡地裁浜松支部平成30年2月16日判決は、以下の事実関係において、パチスロのために車内に子どもを放置して、熱中症で死亡させた被告人について、懲役2年6月に処しています。

「被告人は,生後約1年11か月の長男A(平成27年○月○○日生。以下[被害者」という。)の実父として被害者を保護する責任のあった者であるが,平成29年7月8日午前11時10分頃,静岡県湖西市(以下略)株式会社B中之郷店駐車場において,炎天下であったにもかかわらず,同店内でパチスロ遊戯をするため,同駐車場に駐車した自動車のエンジンを切り,被害者を同車後部座席に設置されたチャイルドシート上に着座させたまま,あえてその場を立ち去り,その頃から同日午後0時53分頃までの間,被害者を放置して遺棄するとともに,同店内においてパチスロ遊戯に耽るなどして被害者の生存に必要な保護をせず,よって,同日午後2時27分頃,浜松市中区富塚町328番地浜松医療センターにおいて,被害者を熱中症により死亡させた。」

また、大阪地裁平成30年7月18日判決は、以下の事実関係において、ラブホテルで過ごすために子ども2人を車内に放置し、熱中症で死亡させたという被告人について、懲役5年に処しています。

「被告人は,A(当時3歳)及びB(当時1歳)の実母として両名を保護する責任のあったもの,Cは,平成28年3月頃から被告人,A及びBと頻繁に昼夜行動をともにするなどして,被告人とともにA及びBを保護する責任のあったものであるが,被告人及びCは,A及びBを自動車内に置き去りにした上で引き続き放置したままホテルで過ごそうと考え,共謀の上,同年4月23日午前1時44分頃,大阪市平野区所在の駐車場において,同所に駐車した自動車内にA及びBを置き去りにして遺棄するとともに,引き続き,同日午後0時9分頃までの間,A及びBを上記自動車内に放置して生存に必要な保護をせず,よってその頃,Bを熱中症により死亡させ,第2 被告人は,Cと共謀の上,同日頃,同区所在の立体駐車場において,Bの死体をクーラーボックス内に隠匿し,もって死体を遺棄した。」

大阪地裁の事例は2名が亡くなった事例ですが、死体遺棄もついて懲役5年です。
この大阪地裁の事例では、4月という季節が相応に評価され、刑が低くされています。
それらの点も考慮した場合、9月初旬で酷暑となることが予想される状況で、2人の子どもが亡くなった保護責任者遺棄致死罪の量刑としては懲役5年くらいとなるのではないかと考えます。

被疑者の人権にも配慮しつつ、事案が解明され、必要な処分がなされることを祈念します。

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