アスベスト曝露による教員の中皮腫・肺がん罹患(労災)

さいとうゆたか弁護士

1 アスベスト・石綿曝露と労災

業務中にアスベスト・石綿に曝露し、後日肺がんや中皮腫となった場合、労災保険から支給がなされることになります。

典型例はアスベスト製品の製造にかかわるような場合ですが、それ以外でもアスベストが飛散する現場で作業をしていたような場合には労災認定がなされることになります。

 

2 アスベストに曝露した教員が中皮腫・肺がんとなった事例

 

名古屋高裁平成30年4月11日判決は、中皮腫・肺がんとなった教員について、アスベスト曝露が原因だとして労災に該当するとしました。

同判決は、以下のとおり述べます。

「学園では,被災者が学園に勤務した延べ33年の期間中に多数の建物にアスベスト(クリソタイル,クロシドライト,アモサイトのほか,種類が不明なアスベスト)を含む吹付材や石綿含有建材が使用されており,これらを用いた建築工事も頻繁に行われていたのであって,被災者が,これらの工事においてアスベストを含む吹付材や石綿含有建材が使用された際に発生,飛散した石綿粉塵に間接的にばく露したり,施工後の吹付材・石綿含有建材の劣化・剥離に伴って発生した石綿粉塵にばく露したことが認められるところ,特に,中学校舎新築工事の内装工事が行われた昭和38年4月から同年11月までの8か月間においては,被災者は,アスベストを含む石綿含有建材の切断・加工を伴う工事が行われた建物と同一の建物で仕事をしていたものであり,この間に被災者がばく露した石綿粉塵濃度は,一般環境レベルを超えるものであった。そのほかにも,ばく露の程度は上記工事中に劣るものの,中学テレビスタジオ及び高校体育館における勤務中にも,一般環境レベルを超える濃度の石綿粉塵に相当期間ばく露したことが認められる。これらのばく露を合わせると,被災者は,その罹患した中皮腫につき,他に発症原因が見当たらない限り,業務に起因するものと認めるべき程度に石綿粉塵にばく露していたと認められる。」

このように、校舎でアスベストが多様されていたこと、それにかかわる建築工事が行われていたこと等から、教員の肺がん・中皮腫はアスベストに起因するものであり、労災として認定されるべきものとしました。

アスベストを自ら扱っていない労働者でもアスベストが原因の肺がん・中皮腫として認定される可能性があるので注意が必要です。

 

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