石崎徹衆議院議員に対する損害賠償請求訴訟

さいとうゆたか弁護士

本日、新潟地裁に、石崎徹元衆議院議員を被告、元秘書を原告とする民事訴訟を提起しました。

請求の理由は大きくわけて損害賠償請求と未払残業代請求です。

損害賠償請求は、石崎徹元衆議院議員が元秘書に対し暴行や暴言を加えたこと、石崎徹元衆議院議員のブログに元秘書の名誉をき損する表現(元秘書が不当な意図で様々な行動をしたかの記載等)を記載したことを理由とするものです。暴行は後頭部を殴る等のものであり、頻繁にありました。痣ができることもあり、元秘書において受診もし、打撲傷の診断書も出ています。暴言は、元秘書の知的能力が低いかのような発言をしたり、存在価値を否定するような言動がなされたということです。原告となった元秘書だけではなく、他の秘書にも暴言がなされてきました。

損害賠償請求額は慰藉料・逸失利益・弁護士費用の合計700万円となります。逸失利益は元秘書が暴行・暴言等のため事務所を退職せざるを得なかったところ、そのために失った賃金分の損害です。

また、石崎徹元衆議院議員は元秘書の残業代について未払いとしていました。その金額は154万0100円です。

残業代については、労働基準法上、残業代と同額の限度でペナルティ的な付加金を請求することができるとされていますので、154万0100円の付加金も請求しています。

以上合計1008万0200円が請求額となります。

既に元秘書において暴行について被害届を出しており、略式命令も出されているところです。

この刑事事件の中で暴行の一部についての責任は明確化されました。

しかし、暴言や未払残業代については手付かずです。暴行についても、刑事事件における立証のハードルが高いため、一部しか認められませんでした。

本件訴訟により石﨑徹衆議院議員のやったことについて、事実関係を明らかにさせ、法的責任を明確化する必要があります。

また、国会議員の秘書による暴言、暴行についてはこれまでも問題とされてきました。

国会議員と秘書とでは、上下関係がはっきりしており、パワハラが起こりやすい環境があると言えるでしょう。

ですから同種の問題は他にもたくさんあるはずです。

石﨑徹元衆議院議員の責任を明確化させるだけではなく、同じように苦しんでいる政治家秘書の皆様にとって参考になるような事件解決を目指します。

皆様のご支援をお願いします。

なお、担当は、当職及び猪俣啓介弁護士です。

【2022年6月16日追記】

2022年6月15日、新潟地裁で、秘書と石崎徹元衆議院議員の尋問が行われました。

元秘書は、石崎徹元衆議院議員からの暴行、暴言等があったと供述しました。

石﨑徹元衆議院議員の供述は、

ⅰ 暴行について2件以外について否認、被害者となった元秘書以外の複数の秘書が暴行を認めた供述調書についてはそれらの複数の秘書が石崎徹元衆議院議員に反発を感じていたため虚偽供述をしたものと説明(ただし、なぜ複数の秘書が石崎徹元衆議院議員に反発を感じていたかの説明はなし)、

ⅱ 暴言については多くを認める、

ⅲ 残業代について、労働時間管理をきっちりしていないことを認める、

というものでした。

【2022年9月14日追記】

2022年9月14日14時30分、秘書と石崎徹元衆議院議員の裁判が結審しました。

双方最終準備書面を陳述しました。

当方は、石崎徹元衆議院議員が認める2件の暴行以外にも暴行があったこと、石崎徹元衆議院議員が行った名誉毀損が違法であること等について主張を行いました。

石﨑徹元衆議院議員側は、暴行は2件にとどまること、名誉毀損には違法性がないこと等について主張をしました。

判決は12月23日13時15分です。

通常の訴訟と比べ、かなり先の日となりました。

裁判所が適正な事実認定をすることを期待します。

【2022年12月23日追記】

2022年12月23日、新潟地裁は、石崎徹元衆議院議員に計492万3820円の支払を命ずる判決を言い渡しました。

暴行については、石崎元衆議院議員が認めていた2件の暴行以外に8件の暴行を認定しました。

暴言については、「バカ」、「発達障害」、「死ね」、「気持ち悪い」等の人格否定発言がなされたことを認定しました。

石﨑元衆議院議員のブログで秘書の名誉を毀損したことについては、一部の記載について、違法性のある名誉毀損だと認定しました。

石﨑元衆議院議員の、名誉を守るためやむなく投稿をしたので投稿に違法性がないとの主張は排斥されました。

上記の損害賠償額の計は236万4920円です。

残業代については、127万9450円の残業代と同額の付加金(労働基準法上、残業代について認められるもの)の支払を命じました。

特に大きな争点となっていた暴行について、石崎元議員の否認していたものも含め10件の暴行が認められたことは大きな意義を有するものと言えるでしょう。

石﨑元議員には、判決を重く受け止めていただきたいと思います。

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