不正アクセスによる不倫の証拠入手と慰謝料請求

離婚問題

1 lineなどの不倫の証拠の価値

不倫の立証をする上でline等で不倫の当事者がやりとりした内容は極めて重要な意味を持ちます。
不倫をしていた配偶者がログインしていた際にline等の内容を見たような場合、損害賠償訴訟でも証拠として問題なく使えることになります。
しかし、他方配偶者の許可を得ず、他方配偶者の端末に暗証番号などを入力することによりlineなどにアクセスし、情報を見たような場合、それが証拠として使えるのか問題があります。

2 不正アクセス行為に該当するか?

この点不正アクセス等の禁止等に関する法律2条4項は、以下のとおり「不正アクセス行為」を定義しています。

「この法律において「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
一 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
二 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く。)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者の承諾を得てするものを除く。次号において同じ。)
三 電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為」

これらの行為を行うと処罰の対象となるとされています。

他方配偶者のパスワードを入力し、lineなどにアクセスしてその内容を見るような行為はこれに該当する可能性があります。

そうはいっても、警察が実際に動く不正アクセス事例は、金銭的被害を与えるような場合等が典型であり、夫婦間において不倫調査のために不正アクセスしたからといって警察が動く可能性が大きいとはいえないと思います。

3 不正アクセスによる証拠と不倫による慰謝料請求

それでは、不正アクセスにより入手した証拠をもとに慰謝料請求をすることはできるでしょうか?
そもそも事の性質上、証拠を不正アクセスにより入手したことを明らかにすることは困難であり、よってある証拠が不正アクセスにより入手されたと認定されること自体極めて稀と考えられます。不正アクセスによるとされる証拠の証拠能力をめぐる訴訟の多くでは不正アクセスの事実自体認定されていません。
東京地裁平成30年3月27日判決は、lineの証拠をもとに不倫の慰謝料請求をしたケースについて、原告が被告のlineを見た際にもともとログインされていた可能性があった等として、「原告が不正ログインによって本件LINEデータを入手したとは認められず,その入手方法が著しく反社会的であると認めるに足りる事情もない。」として、lineを見たことで得た証拠の証拠能力は否定されないとしています。
逆に言うと、この裁判例からは、不正アクセスの事実が認められると証拠能力が否定されるかに受け取ることもできます。
しかし、不正アクセスに該当する行為により証拠が入手された場合の証拠能力の扱いについては裁判例上もはっきりしていないと言えます。
仮に不正アクセスに該当する行為により証拠が入手されたと認定されたとしても、その証拠をもとに得られた証拠(供述等)の証拠能力は認められる可能性もあります。

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