著作権の侵害

さいとうゆたか弁護士

1 著作物とは何か?

他人の著作物を勝手に複製、翻案等をした場合には著作権侵害となる可能性があります。

しかし、そもそも「著作物」とは何かというのは簡単な問題ではありません。

著作権法2条1項1号は、著作物であるためには、「思想又は感情を創作的に表現したもの」である必要があるとしています。

ここで問題となるのは、「表現したもの」です。

頭の中にあるだけのもの、単なるアイデアやビジネスモデルといったものはそれら自体は保護の対象にはなりません。

逆に、「思想又は感情を創作的に表現したもの」であれば、一般的に芸術として評価されるようなものでなくとも、例えばチラシなどのようなものでも著作物に該当する可能性はあります。

著作権法第十条は、「この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。」として

一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
を例示しています。
一般的に芸術と評価されるようなものでなくとも、1号の「言語の著作物」等に含まれると考えられます。

ということで、重要なのは「創作性」の要件ということになりますが、この「創作性」の要件をめぐり、大阪地裁平成31年1月24日判決、大阪高裁令和1年7月25日判決は、コンタクトレンズ販売店のチラシについて著作物に該当しないとしています。

大阪地裁判決は、チラシ中の「検査なし スグ買える!」などのキャッチフレーズについて、「眼科での受診(検査)なしでコンタクトレンズをすぐ買えるという旧大阪駅前店のビジネスモデルによる利便性を、文章を若干省略しつつそのまま記載したものにすぎず、そこに個性が現れているということはできない」等として、著作物と言えないとしました。

その他の表現についても、ありふれた表現方法である、表現方法の選択の幅が狭いなどとして創作性はない、著作物ではないとしました。

大阪高裁もこの判断を是としています。

このように、ビジネスモデルを普通の方法で記載したに過ぎないもの、ありふれた表現方法で表現したに過ぎないものは創作性がなく、著作物に該当しないというのが一般的な理解です。

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