性犯罪者のGPS監視

さいとうゆたか弁護士

新潟県議会で性犯罪者のGPS監視についての決議がなされたということが報道されています。

確かにアメリカではGPS監視が行われています。

しかし、このような手法が許されるどうか慎重な検討が必要です。

まず、そのような監視の必要性があるでしょうか。

この点、性犯罪者は再犯率が高いという指摘がなされます。平成18年に刑務所で性犯罪者処遇プログラムが実施されるようになりました。そして、法務省の報告書によると、プログラムの結果、性犯罪については一定の犯罪減少効果があったものの、子ども対象性犯罪については有意な成果が確認されなかったとの指摘がなされています。しかし、同時に、報告書としてはプログラムの修正の余地も指摘しているのであり、刑務所におけるプログラムの改善による再犯防止も期待できるものと考えます。

また、それ以外にも、歩道やガードレールなどハード面での犯罪対策(犯罪がおこりにくいまちづくり)、地域の警察官の充実やパトロールの重点化などの方策もあるはずです。

それらの方策について十分な対策を取らないまま(私は不十分だと思います)、GPSだけ突出してとりあげられることには違和感を感じます。

また、許容性の観点からの検討も必要です。

もしGPS監視というものが導入されるということになると、半受刑のような形になります。それは実質的には処罰ですから、法律で予め、どのような場合に、どの程度の期間実施されるものか明確に定めておく必要があります。期間なども必要を超えるものは許されません。そのような刑法上の基本的なルールを考慮しないままのGPS監視導入であれば許されるべきではないでしょう。

西区の女の子殺害事件を踏まえ、社会が同じような事件が起きないよう真摯に対応すべきは当然です。しかし、特定の手段を採用すれば飛躍的に犯罪が減るというのは幻想でしょう。予算を十分に使い、地道に様々な方法を組み合わせて再発防止をしていくしかないと思います。

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