交通事故による頚椎捻挫・むち打ちについて(損害賠償額、どのような場合に認められるか等)

交通事故

執筆者 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 頸椎捻挫・むち打ち(交通事故)

交通事故の後遺障害でよく見られるのが頚椎捻挫・むち打ちと呼ばれるものです。

交通事故後、首や頭などが痛み、レントゲンなどの画像上所見があれば後遺障害等級12級などの認定がされますが、画像所見がない場合には14級の認定がされる場合があります。

事故の衝撃の大きさとはあまり関係なく頚椎捻挫・むち打ちが長引くことがあるとの研究もあります。しかし、保険会社・自賠責も裁判所も頚椎捻挫・むち打ちの認定には消極的です。

他覚所見がなくとも、事故の衝撃が大きいものであったこと(自動車の損傷具合や速度などから判断されます)、痛みが当初からあり長期間一貫していること、継続的で強い痛みが残っていることなどの事情があれば14級の認定がされる可能性が高くなります。

2 頸椎捻挫・むち打ちの賠償額

他覚所見のない頸椎捻挫・むち打ちの後遺障害に伴う慰謝料は110万円、他覚所見のある場合は290万円が目安とされます。

通院に伴う慰謝料について、他覚所見のある頸椎捻挫については通常の場合と同様の基準で算定されますが、他覚所見がない場合には通常の後遺障害とは異なる低い基準とされます。具体的には、通常の場合は通院1月の慰謝料は28万円程度ですが、他覚所見のない頸椎捻挫・むち打ちについては19万円とされます。また、通院が長期にわたる場合、実通院日数の3倍程度を目安とするともされています(以上、「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻 2020」(いわゆる赤本)192ページ)。

他覚所見のない頸椎捻挫・むち打ちについては、逸失利益の労働能力失期間が5年程度に限定されることが多く、他覚所見のある場合でも10年に限定されることが多いです。その結果、逸失利益はかなり低く抑えられがちです。参照:12級の頸椎捻挫の労働能力喪失期間を10年とした判決

3 むち打ちの発生が争われるケース

衝撃が小さいと思われるような交通事故については、そもそもむち打ちの発生自体が否定されることもあります。

民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(下巻・講演録編 2023)所収の「受傷の有無が争点となる事案について」(戸取謙治裁判官)では、受傷の有無が争いになったケースでは、

ⅰ 衝撃の程度(車両の損傷状況、事故態様、速度・角度、衝突箇所、衝突後の車両の動き、双方の車両の車種・重量、修理内容、姿勢等。ドアミラーにキズがついた程度の事故では否定されやすい)

ⅱ 症状の内容・経過、治療経過(事故直後の受診、主訴と事故態様の合致、一貫した主訴、自然な治療経過、既往症、過去の交通事故歴・保険金請求歴、事故後の生活状況や稼働状況等)

を考慮して、判断するとされています。

4 12級と14級のむち打ちの違い

12級と14級のむち打ちの違いは、画像所見の有無であり、症状を裏付ける画像所見があれば12級となります。

しかし、話はそう単純ではなく、画像所見があるかどうかが争われることもあります。

例えば、画像上、椎間板ヘルニアがあったとしても、それは加齢による変化であるとして、自賠責が14級と認定することもあります。

この点、交通事故後の所見で椎間板ヘルニアがみられたのに14級と認定された頸椎捻挫事例において、名古屋地裁平成29年2月24日判決は、事故前には椎間板ヘルニアの治療歴がない等の事情を踏まえ、12級の認定をしました(ただし、10%の素因減額をしています)。

また、椎間板突出が画像上認められる場合でも、事故前からあったとして14級認定されることもあります。

この点、福岡地裁令和1年9月17日判決は、椎間板突出が認められる神経根と症状の部位が対応していること等から、12級の認定をしています。

画像所見があるのに事故と無関係等と言われ、14級認定された場合でも、12級に該当する可能性がないか、慎重に検討する必要があります。

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