組体操による事故と損害賠償(学校事故)

交通事故

1 組体操による事故と損害賠償

組体操により重大な障害を負ったという事案がこれまで多く発生してきましたし、組体操の問題性はつとに指摘されてきましたが、未だに組体操を行っている学校もあるようです。

裁判所は組体操について学校側の責任を認める判決を出してきています。

例えば、名古屋地裁平成21年12月25日判決は、4段ピラミッドの最上位から落下して傷害を負った事故について賠償責任を認めました。

裁判所は、以下のとおり、4段ピラミッドについて、最上位の児童は2メートル以上の高い位置で立ち上がる動作を行い、かつ、安定するかどうかは3段目以下の児童の状況にかかってくるので、落下する危険性を有するものであり、指導する教員には危険を回避・軽減するための指導を十分に行う注意義務があるとしました。

その上で、判決は以下のとおり述べて、教員らが、危険を回避・軽減するための指導を十分に行わなかった、3段目以下の児童らが不安定な状況にあったのにそれを把握しないまま漫然と合図を出した、合図にかかわらず組み立てを止めさせたり落下を補助する教員を配置しなかったとして注意義務違反を認めました。

「A1らは,3段目以下の児童が不安定な状況で,原告を立ち上がらせないように,本件4段ピラミッドの状況を十分把握して合図を出すべき注意義務があり,仮に3段目以下の児童が不安定な状況で合図が出されてしまった場合であっても,本件4段ピラミッドの近くに教員を配置して,本件4段ピラミッドの状況に応じ,3段目以下の児童が不安定な場合には,その段階で組立てを止めるよう指示すべき注意義務があった。そして,A1らは,原告が自ら落下を回避することができずに落下する事態に備えて,補助する教員を配置するなどして原告を危険から回避・軽減させる注意義務があった。」

「それにもかかわらず,A1らは,原告に対し,危険を回避・軽減するための指導を十分に行っていないうえに,A1は,本件4段ピラミッドの3段目以下の児童が不安定な状況にあったのに,これを把握しないまま漫然と合図を出し,また,A1らは,本件4段ピラミッドの状況を近くで把握し,合図にかかわらず組立てを止めるよう指示することのできる教員を本件4段ピラミッドの近くに配置せず,さらに,原告の落下に対して,補助する教員を本件4段ピラミッドの近くに配置していなかったのであるから,上記の注意義務を怠った過失があるというべきである。」

そもそも危険性を有し、かつ、練習の機会の少ない組体操自体、存続をさせることについて疑問もありうるところですが、仮に行うとすれば上記したような危険を回避等するなどの指導、組立を止めるよう指示する教員の配置など十分な配慮が求められるところです。

2 新潟で学校事故のお悩みは弁護士齋藤裕へ

野球部の練習中の事故についての記事

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