台風、大風による看板など落下と損害賠償

交通事故

1 台風、大風による看板など落下と損害賠償

報道によると、10月1日、横浜市内で、建物から落下した看板に当たった男性が死亡したとのことです。先の台風の影響も指摘されているところです。ご遺族にはお悔やみ申し上げます。

さて、台風などの大風を原因として物が落下したとして賠償責任が問われる事例が今までもありました。

東京地裁平成17年7月22日判決は、風速毎秒54・9メートルの風が観測され、屋根材などが落下したという事故について、従来落下などがなかったこと、風速50メートルを超える強風で落下したため瑕疵があったとは言えないとして賠償責任を否定しました。

他方、東京地裁平成27年4月13日判決は、以下のとおり述べ、毎秒33ないし39メートル程度の強風により足場が崩落した事故について、周囲にあるビルにより強風が発生する環境にあったのに対策を講じなかったとして、建物所有者に賠償責任を認めました。

 

「本件事故は,本件台風によって発生した強風によって発生したものであるところ,本件解体工事は,台風が襲来することが予想される6月ないし7月頃に行われていたものであったこと,周囲に高層ビルがあるなどの本件隣接建物周辺の状況に照らせば,本件解体工事を請け負った被告Y1は,台風の襲来等によって,相当程度の強風が発生することを予見し,これにも十分に耐えられる強度で足場等を設計し,設置する義務があったというべきである。」

「それにもかかわらず,被告Y1は,前記認定事実1(2)のとおり,本件足場について,毎秒28.6メートルの風速を基準に設計し,また,本件台風の接近後も本件隣接建物との連結を強化する措置等をとるように下請業者に指示せず,そのために,上記速度を超える強風によって本件事故が発生したものであって,被告Y1が,本件解体工事においてとるべき必要な注意義務を怠った結果,本件足場が倒壊するなどの本件事故が発生し,本件建物の外壁等が毀損するなどの被害が生じたというべきである。」

このように、かなりの強風による落下であれば責任が認められない可能性はありますが、かなりの強風による落下であっても、そのような強風が想定できる状況下であれば賠償責任が認められる可能性があります。あくまで責任は一律ではなく、各地域地域、各時代時代において、どの程度の強風が想定されるかによって違ってくることになります。そして、昨今のように強い台風が頻繁に来襲する状況においては、建物所有者などに今までより強い注意義務が課される可能性があるといえると思います。

2 新潟で台風、大風などよる被害でお悩みの方は弁護士齋藤裕にご相談ください

台風、大風などによる被害でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください。

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