
1 学校での砲丸投げ・槍投げ・ハンマー投げによる事故と賠償責任
学校で、砲丸投げ、槍投げ、ハンマー投げに伴い、事故が発生することはこれまでもあり、賠償責任が問われたこともあります。
以下、ご紹介します。
学校での槍投げに伴う事故
神戸地裁平成14年10月8日判決は、高校陸上部の槍投げ練習中に他の部員が投げた槍が頭部に当たったという事故について、学校設置者の賠償責任を認めています。
判決は、以下のとおり、担当顧問としては槍投げの危険性を具体的に予見できた、よって担当顧問としては練習に立会い監視指導すべき義務を負っていた、それにも関わらず担当顧問が練習の場を離れたことは義務違反で、過失があるとしました。
「C(顧問)は,本件事故前は,投擲パートの部員らに対し,槍を投げる際に「投げます。」などの声を掛けること,全員が槍を投げ終わってから一斉に槍を取りに行くことやCが立ち会っていないときに空中への槍投げ練習を行わないことなどの安全指導を徹底していなかったものと推認することができる。そして,Cが上記のような安全指導を徹底していれば,原告らがCが立ち会っていないのに空中への槍投げ練習を開始したり,Aが槍を投げる直前には声を掛けずに槍を投げたり,Aが槍を投げ終わる前に原告が槍を取りに行ったりすることはなく,本件事故の発生を回避することができたといえるから,Cには安全指導の徹底を怠った過失があるものというべきである。」
「そして,Cが上記立会義務を尽くしていれば,原告らが空中への槍投げ練習をしたいと申し出たとしても,これを制止するか,又はこれを許す場合でも,安全に十分配慮することにより,本件事故の発生を回避することができたといえるから,Cには上記立会義務に違反した過失があるものというべきである。」
学校でのハンマー投げに伴う事故
名古屋地裁平成31年4月18日判決は、県立高校の陸上部の部活動のハンマー投げの練習中,投てき動作中の部員のハンマーのワイヤーが破断して,近くにいた被害者にハンマーのヘッド部分が当たったという事故について、学校側の賠償責任を認めました。
判決は、学校側には、「ネットの配置について工夫をして出入口を投てきサークルと一直線にならないように設け」る義務、「仮にハンマーが飛んできても安全性が確保される場所を待機場所として選定し,当該場所での待機を本件陸上部の部員に指示する義務」があったのに違反があったとして賠償を認めました。
事故防止のために
槍投げ、砲丸投げ、ハンマー投げでは、頭部などに当たれば重大事故になることは容易に想定されます。
よって、高校生などが行うについては顧問などの立会いを必須とすること、安全な位置関係などを学生に指導すること、事故防止のため適切な設備を設けること等は当然要請されるところであり、それぞれの裁判例で裁判所が過失を認めたのは穏当かと思います。
同様の事故防止のため、各学校では立会いなどの徹底を行うべきでしょう。
2 新潟で学校事故やスポーツ事故のご相談は弁護士齋藤裕へ
もご参照ください。
学校事故でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。