
1 脊柱の後遺障害(交通事故)
交通事故で脊柱に障害が残った場合、以下の基準で後遺障害等級が認定されます。
前提として、頚椎と胸腰椎は異なる機能を担っているため、異なる部位としてそれぞれ等級が認定されます。
脊柱に著しい変形を残すもの 6級 (労働能力喪失率67%・慰謝料1180万円が一応の目安)
脊柱に著しい運動障害を残すもの 6級 (労働能力喪失率67%・慰謝料1180万円が一応の目安)
脊柱に運動障害を残すもの 8級 (労働能力喪失率45%・慰謝料830万円が一応の目安)
脊柱に変形を残すもの 11級 (労働能力喪失率20%・慰謝料420万円が一応の目安)
2 脊柱に著しい変形を残すものとは?
脊柱に著しい変形を残すものとは、
ⅰ 脊椎圧迫骨折等により2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後彎が生じているもの
(前方椎体高が著しく減少とは、減少した全ての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計の紗が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さ以上であるものをいいます)
ⅱ 脊椎圧迫骨折等により一個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生ずると共に、コブ法による側彎度が50度以上となっているもの
(前方椎体高が減少したとは、減少したすべての椎体の後方椎体の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さの50パーセント以上であるものをいいます)
のいずれかに該当するものを言います。
なお、コブ法とは、エックス線写真により、脊柱のカーブの頭側及び尾側においてそれぞれ水平面からもっとも傾いている脊椎を求め、頭側でもっとも傾いている脊椎の椎体上縁の延長戦と尾側でもっとも傾いているせき椎の椎体の下縁の延長戦が交わる角度である側彎度を測定する方法です(一般財団法人労災サポートセンター「労災補償障害認定必携」236ページ)。
3 脊柱に変形を残すものとは?
脊柱に変形を残すものとは、
ⅰ せき椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの、
ⅱ せき椎固定術が行われたもの、
ⅲ 3個以上のせき椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの、
のいずれかに該当するものです。
4 脊柱に著しい運動障害を残すとは?
脊柱に著しい運動障害を残すとは、
ⅰ 頚椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎圧迫骨折等が存在しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの、
ⅱ 頚椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎固定術が行われたもの、
ⅲ 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの、
のいずれかに該当するものです。
5 脊柱に運動障害を残すとは?
脊柱に運動障害を残すものとは、
ⅰ 頚部又は胸腰部の可動域が参考可動域角の2分の1以下に制限されたもののうち一定の要件を満たすもの、
ⅱ 頭蓋・上位頚椎間に著しい異常可動性が生じたもの
のいずれかに該当するものです。
6 逸失利益について
民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準下巻2021所収の「脊柱変形の障害による労働能力の喪失について」(小沼日加利裁判官)は、脊柱変形による逸失利益(労働能力喪失率)に関する裁判例を分析し、
・6級の場合、具体的症状等を踏まえ労働能力喪失率を修正(50~67%)
・8級の場合、多くは20%台から45%の労働能力喪失率であり、喪失率は脊柱の機能がどの程度維持されているかによる
・11級の場合、41件の裁判例中16件で20%、23件でそれより低い喪失率ないし逓減、ごく少数は労働能力喪失を否定
としています。
他の後遺障害の場合もそうですが、後遺障害の等級に従った労働能力喪失率・逸失利益が常に認められるわけではありません。
症状や支障も含めて検討することが重要です。
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