不動産の財産分与(離婚)

相続問題

1 不動産の財産分与

離婚のときには夫婦の財産が分与されることになりますが、不動産も当然に財産分与の対象となりえます。

不動産が一方配偶者が親から相続したような場合には原則として財産分与の対象にはなりません。

不動産が結婚後に夫婦が得たお金で購入などされた場合には財産分与の対象となります。

不動産が結婚前に取得されたものであっても、ローン返済が結婚後にもなされたような場合、夫婦双方の寄与があると考えられますので、やはり財産分与の対象となりえます。

不動産が誰の名義であるかはあまり関係ありません。

2 分与の仕方、割合

常は半々の割合で分与をすることになります。

しかし、不動産はきれいに物理的に分けることができないのが一般的なので、どちらか一方が取得し、他方はお金での精算をしてもらうということが多いです(代償金)。

例えば、結婚前に一方配偶者が取得した不動産について、結婚前に払った住宅ローン額が3分の1、結婚後に払った住宅ローン額が3分の2であれば、不動産の評価額×1/3×1/2という計算式で分与額を決めることになります。

どちらが取得するかについては、居住実態や予定、ローンの負担者等により決めることになります。

例えば東京高裁令和3年12月24日決定は、以下のとおり述べ、居住者が住宅ローンを払うつもりがないというケースで、非居住者が住宅ローンを払う前提で、居住者から非居住者に持分の分与をさせています。

本件記録(甲4の2,乙1の2)及び手続の全趣旨によれば,同不動産(財産番号6及び同8)は,抗告人と相手方が持分各2分の1の割合で共有する旨の登記がされており,基準時後も相手方において居住用として使用していたことが認められる
同不動産はその評価額を上回るオーバーローンの状態にあり,かつ,抗告人が基準時後も上記ローンの返済を行ってきたものであると認められ,相手方において,抗告人から,相手方が居住を継続する前提で,上記ローン残額,管理費用や固定資産税などの経費の半分を負担するように求められていたのに,これに応じる姿勢を示すこともなかったこと(乙1の2)を踏まえれば,同不動産(抗告人及び相手方の持分各2分の1)について,抗告人において上記ローン残額の全額の支払義務を単独で負担することを前提に,同不動産の全部を取得させるのが相当であるから,同不動産の財産分与の方法としては,同不動産の相手方持分2分の1を抗告人に分与するのが相当である。

3 住宅ローンがある場合

住宅ローンが残っている場合、分与時点での不動産評価額から残ローン額を引いた金額を分与の対象とするのが一般的です。

残ローンの方が多いオーバーローンの場合、

ⅰ 家に住む側が住宅の所有権を取得し、住宅ローンを払い続け、他方配偶者は代償金を取得しない、

ⅱ 不動産を売却し、ローンを精算する、

などの方法が考えられます。

住宅ローンを払わない側が住宅に住み続けたい場合、住宅ローンを払う側の配偶者に賃料を払い、住み続けるというやり方もあります。

いずれにしても、残ったローンについてはローンの名義人のみが支払義務を負うことになります。

ローンを払う側が他方配偶者に対してローンの分与を求めることも見かけますが、裁判所はそのような債務の分与は認めない傾向にあります。

4 家に住まない側の配偶者が住宅ローンの連帯保証人になっているような場合、連帯保証人から外して欲しいと求めることはよくあります。

しかし、住宅ローンや連帯保証の契約はあくまで銀行などの債権者との関係で発生したものです。

連帯保証を外すためには銀行などの承諾が必要ですし、銀行などは新たな連帯保証人を用意するなどしない限り連帯保証人を外すことがないのが一般です。

4 新潟で離婚、財産分与のお悩みは弁護士齋藤裕へ

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