
1 不貞・不倫についての故意・過失と損害賠償責任
誰かと婚姻関係にある人と性行為をした場合、その人は不貞をしたとして慰謝料請求の対象となりえます。
しかし、不貞相手については、自分が性行為をしている相手が独身であると名乗っており、誰かと婚姻しているとは知らなかったということもあります。
そのような場合、自分が性行為をしている相手が独身である信じ、そのことについて過失がないとされれば、慰謝料支払い義務はありません。
自分が性行為をしている相手の結婚生活がすでに破綻していると信じ、そのことについて過失がない場合も同じです。
では、どのような場合に、独身であると信じていたとか、過失がなかったと認定されるのでしょうか。
東京地方裁判所平成30年1月29日判決は、婚姻関係が破綻していたことについての認識の有無が争われた事件について以下のとおり判断をしています。
ここで「被告」がAと不貞をしており、その不貞相手Aの配偶者が「原告」となります。
「被告は,Aから原告と婚姻関係にあることや月に1回程度は山梨の原告のもとに行っていることを聞いていたこと,平成27年当時は被告にも配偶者がいたこと,被告が原告及び同行男性と面談した際,直ちに交渉を拒否して面談を終了しなかったことが認められるほか,被告とAの不貞関係に関する上記認定説示に係る各証拠があるにもかかわらず,なおも不合理な主張をして不貞行為自体を否認する態度を貫いていることも併せ考慮すれば,被告は,Aが原告と婚姻関係にあること及び同婚姻関係が破綻に至っていないことを知りながら,Aとの不貞行為に及んでいたと解するのが合理的であり,被告には,Aとの不貞行為につき故意があったと認めるのが相当である。」
ここでは、被告においてAが妻のところに定期的にいっていたことの認識があったこと、被告においてAとの関係をやましいものだととらえていたこと(原告らとの交渉を拒否したこと、不貞行為自体を否認していること)をもって婚姻関係が破綻していないことについて認識していたと認定しています。
これは形式的な婚姻関係があることが明らかであった事件であり、不貞が成立することが原則といえる状況について被告について認識していたため、比較的簡単な認定で認識が認められていると考えられます。
婚姻関係自体の認識に争いがある場合、慰謝料を請求する側はより丁寧な立証を求められると考えられます。
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