
1 GPSによる不倫調査がストーカーに該当するか
最近ではGPSにより不貞・不倫の調査を行う方も増えており、その調査結果が不貞・不倫の認定の上で重要な証拠となることもあります。
これまで、GPSの利用などがストーカーとして検挙されることもありました。
例えば、福岡高裁平成29年9月22日判決は、以下のとおり、GPSを利用して不倫調査をした件についてストーカー規正法違反となるとしました。
この件では、被告人は、GPS調査の調査結果を利用して、被害者の自動車に張り紙を貼ったり、不貞関係の解消とは関係ない事項も含めて被害者に監視している旨を伝えたり、義務のないことを要求するなどしていました。
裁判所はこのような事実関係の上で、GPS調査に、ストーカー規制法2条が定める「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」があるとしました。
また、「行為の性質上,身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法(ストーカー規制法2条2項,以下,「不安方法」という。)によるものである」として、ストーカー規制法2条2項の要件も満たすとしました。
さらに、同判決は、不貞調査目的だからといってストーカー規正法による処罰対象から外れることにはならないとしました。
このように、不貞調査であるとしても、後述する改正ストーカー規制法施行後は、ストーカー規制法での規制対象となることはありえます。
2 2021年5月18日のストーカー規制法改正の影響
ところで、上記福岡高裁判決について、最高裁令和2年7月30日判決は、GPSでの監視はストーカー規制法で禁止された「見張り」には該当しないとの判断を示していました。
しかし、2021年5月18日、位置情報無承諾取得等をストーカー規制法の対象とする法改正が成立しています。
よって、最高裁判決にかかわらず、改正ストーカー規制法施行後にはGPS調査がストーカー規制法の対象となることはありうることになります。
ただし、不貞調査のためGPS調査が必要であり、かつ、その調査結果を目的外利用していないような場合においては、ストーカー規制法2条の要件を満たさず、ストーカーとはされないと考えられます。
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