相続法改正 その2 配偶者短期居住権

さいとうゆたか弁護士

1 配偶者短期居住権

相続法改正により配偶者居住権、配偶者短期居住権が創設されます。

これは、夫婦の一方が死亡した場合に、他方配偶者が従来の住居に居住する権利を認めることにより、その保護をはかるものです。

これには配偶者居住権と配偶者短期居住権の2種類あります。

今回は配偶者短期居住権について説明します。

配偶者短期居住権は民法1037条で認められることになります。

民法1037条は、「配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物の所有権を相続又は遺贈により取得した者に対し、居住建物について無償で使用する権利を有する」と規定します。

つまり、配偶者短期居住権が認められるためには、ⅰ 配偶者が問題となる建物に被相続人死亡のときに住んでいたこと、ⅱ その建物が被相続人の財産であったこと、ⅲ 無償ですんでいたこと、という要件が必要となります。

このような要件があれば、遺言書に書いていなくても、相続人間の合意がなくとも、裁判所の審判がなくとも自動的配偶者短期居住権が認められることになります。

そして、配偶者短期居住権の存続については、居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合には、遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始時から6ケ月を経過する日のいずれか遅い日までということになります。

つまり、最低限6ケ月は居住できますし、遺産分割がそれ以降になればそのときまで居住できることになります。

遺産の分割をすべき場合ではない場合には、建物所有権取得者から配偶者短期居住権の消滅申し入れがあった日から6ケ月経過した日までということになります。

ここでも、最低限6ケ月は居住できますし、遺贈などで建物を取得した人がいて、その人から配偶者短期居住権を消滅させる申し入れがあったときでも、そこから6ケ月経過した日までの居住は認められることになります。

なお、配偶者が相続開始のときに居住建物にかかる配偶居住権を取得した場合、相続人としての欠格事由に該当したり排除された場合には配偶者短期居住権は成立しないことになります。

配偶者短期居住権の施行は2020年4月1日となります。

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