ガードレールの隙間から路外への転落事故と保険金支払い(交通事故)

交通事故

1 ガードレールの隙間から路外への転落事故と保険金支払い(交通事故)

東京地裁平成30年1月31日判決は、ガードレールの隙間から路外に自動車が転落した事故について、人身傷害補償保険の支払いを認めませんでした。

人身傷害補償保険がどのような場合に支払われないかについて参考となる判決と思われるので、ご紹介します。

原告は、運転者が、「剣道(林道)を北方から南方に向かって、路外のガードレールを注視しながら、本件自動車を運転して雨中を走行中に、ガードレールの開口部を見て、その方向に道路が延長しているように錯覚したため、本件自動車を誤って右せん回させて本件転落場所に進入させた」と主張していました。

これについて、裁判所は、当時の自動車の速度が時速25~30キロメートルであったとする鑑定書を前提に、「このような低速度であったとすれば、本件転落場所を含む前後が直線であり、見通しがよいことも勘案すれば、運転者が県道(林道)を北方から南方に向かって走行してきて、ガードレールの切れ目に差し掛かった際、視界が悪くなければ、この切れ目を見てその方向に道路が延長しているように錯覚する可能性は、極めて低いということができる」、「本件転落場所の周辺の本件事故当日の降水量によると、視界が不良になるほどの降雨があったとはいえないし、また霧その他の視界の妨げとなる事象が発生していたと認めるに足りる証拠もないことからすれば、本件事故当時、視界が不良であったと認めることはできない」、「一度は本件転落現場を通過しているのであって、運転者は本件転落場所にはガードレールが設けられていないことを認識していた可能性が十分にある」などとして、」などとして、「不注意又は不可抗力により本件自動車を右せん回させた可能性は極めて低いといわざるを得ないから、その余の点について判断するまでもなく、本件事故には偶然性が認められない」、人身傷害補償保険の支払いを認めませんでした。

裁判所認定の速度を前提とすれば、比較的常識的な判断であるように思われます。

なお、この訴訟では、車両保険の支払いも問題となりました。

裁判所は、運転者の故意により事故が生じたと認めることはできないとして、車両保険の支払いは認めました。

このように人身傷害補償保険と車両保険とで結論が分かれたのは、両保険において支払うことができない事情についての主張立証責任が異なるからと考えられます。

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