不貞期間・不貞回数と慰謝料

離婚問題

1 不貞期間、不貞回数と慰謝料額

不貞により慰謝料が請求される場合、不貞期間や不貞回数は慰謝料額算定の上で重要な要素です。

例えば、東京地裁平成28年3月25日判決は、以下のとおり述べ、不貞期間が短く、不貞回数も少ないことを考慮して慰謝料を算定しています。

「被告とAの不貞関係については,その期間が約1か月と比較的短く,不貞関係の回数も,3回とそれほど多くなかったこと,現時点で,原告とAの婚姻関係が維持されていることなどの事情を考慮しても,被告が原告に対して支払うべき慰謝料は,180万円が相当であ」る。

同判決では、被告において責任を免れるためAの名誉を毀損する虚偽の事実を告げるなどしており、そのため慰謝料額がやや高めとなっていますが、不貞期間が長く、不貞回数が多かったら、慰謝料がより高額となっていたものと思われます。

また、東京地裁平成20年6月18日判決は、不貞回数が一回であることを前提に、慰謝料額を120万円としています。

不貞回数が少ないことを理由に慰謝料額が低くなったと考えられます。

このように、慰謝料額を算定する上で、不貞期間、不貞回数が重要な要素であることは疑いの余地がありません。

他方、通常、不貞回数と不貞期間は比例しますが、必ずしも不貞期間と不貞回数が比例しない場合もありえます。

東京地裁平成28年11月25日判決で、被告側は、年に数回しか不貞をしておらず、慰謝料額が減額されるべきとの主張をしていたのに対し、裁判所は、不貞期間が長いため、慰謝料額は減額されないとしました。

「Aとの不貞行為があった回数が多くないことを慰謝料の減額事由として主張するが,仮に,被告の主張するように,同人とAとの不貞関係が平均して年数回程度であったとしても,原告は,被告とAの間の性交渉の回数ではなく,その関係が継続していた期間が長期間に渡っていたことによって,精神的苦痛を覚えていたことは明らかであるから,被告の上記主張は,採用できない。」

実際問題、長期間不貞行為がなされていた場合、不貞回数が年に数回だったか、数十回だったか、被害者側で立証するのは著しく困難です。

そうであれば、不貞期間だけで慰謝料額を算定し、不貞回数についてはさほど考慮しないという考え方にも合理性があると思われます。

不貞による損害賠償については、適切な賠償額を得るためには、不貞回数、不貞期間双方の適切な立証が不可欠だということです。

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