不貞調査のための興信所・探偵費用と損害賠償

離婚問題

1 不倫調査のための興信所・探偵の費用と損害賠償

不貞・不倫は密室でなされます。

そのため、不貞・不倫を立証するため、興信所・探偵に依頼することもあります。

この費用については、全額損害賠償として認められることはあまりありません。

東京地裁平成28年10月27日判決は、以下のとおり、興信所費用の一部についてのみ賠償対象として認めました。

原告は,調査会社に支払った調査費用129万6000円(消費税込み)についても本件の損害である旨主張する。
そこで検討するに,本件訴訟における被告の応訴内容からすると,調査会社による調査の必要性自体は否定できないが,調査結果は立証方法の一つにすぎないこと,原告は,本件訴訟において書証として提出されている調査報告書に係るもの以外にも複数回の調査を調査会社に依頼しており(原告本人),調査の全てにつきその必要性があったか否かは明らかでないこと,調査内容は,基本的には被告の行動を調査して書面により原告に報告するというものであり,そこまで専門性の高い調査とはいえないことなどに照らすと,上記調査費用のうち,10万円について,被告の不法行為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。

東京地裁令和4年2月16日判決も、以下のとおり、興信所費用の一部の賠償のみ認めました。

Aは原告との別居に当たって被告の存在を隠していたところ,原告は,Aの浮気を疑って興信所にAの行動調査を依頼したこと,興信所の調査の結果,男性がAと二人で夜にA住居に入り翌朝に出ていく様子等が報告されたこと,原告は,興信所から受け取った本件報告書における上記男性の写真,勤務先,住居が入っているビルの名称及び所在地の情報を基にして当該男性が被告であること及び被告の住所を特定するに至ったことが認められる。
上記の経緯に照らすと,本件の被告の不貞行為につき原告が被告に損害賠償請求をするには,上記の興信所の調査が必要であったというべきである。もっとも,原告が興信所に支払った調査費用162万0400円(甲2~4)は調査結果に照らして高額であることが否定できず,上記のうち30万円の限度で本件の被告の不貞行為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。

東京地裁平成29年5月24日判決は、以下のとおり述べ、調査費用について全く賠償を認めませんでした。

原告は,興信所に調査を依頼している。しかし,被告が答弁書においてAとの性交渉を認めていることに照らすと,本件においては,興信所の調査費用は必ずしも支出しなければならなかったとはいえない。よって,興信所の調査費用は本件不法行為と相当因果関係があると認めるには足りない。

以上から、裁判所は、興信所の費用について、かなり厳密に必要性を検討する姿勢を示しています。

どの程度の証拠があれば不貞が認定されるのか、判決をもらってみないと何ともいえない部分もあります。

よって、必要性を厳密に考える裁判所の姿勢については疑問がないわけではありません。

また、必要性がある場合についても、興信所の費用が高額すぎるという前提で、金額を削ることもあります。

よって、不貞の調査のため、興信所に依頼する場合は、さまざまな既存の証拠だけでは不貞の立証ができないかどうか、きちんと検討してからの方がよいと思います。

そして、興信所の調査費用については、最終的には自分持ちになるリスクがあることも踏まえ依頼することが重要です。

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