住宅ローン債務の負担(離婚)

離婚問題

1 離婚と住宅ローン債務の負担

多くの離婚事案において、オーバーローンの場合の住宅ローン債務をどのように扱うかは大きな問題となります。

債務は財産分与の対象とはならず、よって名義上債務者とされている方が支払義務を負うのが原則です。

ところが、一方配偶者が主債務者、他方配偶者が連帯保証債務者とされている場合もあり、そのような場合の取扱いについては不明確な部分も残ります。

もちろん、債権者との関係では、主債務者も連帯保証人も、同じく全額返済の義務を負います。

しかし、例えば、主債務者が全額返済した場合、連帯保証人に半額なりの請求をすることができるかどうかという問題は別途残ります。

この点、東京地裁平成28年8月8日判決は、以下のとおり述べて、不動産を取得する主債務者がローン全額を払うべき義務を負い、連帯保証人となっている他方配偶者は責任を負わないとの判断を示しています。

「調停離婚により,財産分与の結果,本件不動産の被告持分を原告に移転し,本件消費者ローンの残債務額の内3000万円を原告が代位弁済して新たな借入債務を負うこととし,その際,本件借入金の債務については何ら変更等がされることなく,離婚に関し,財産分与も含め,清算条項の合意がされている。
本件借入金についてのみ財産分与の清算の対象外であったものとは認めるに足りる的確な証拠はなく,また,実質的にも本件不動産は原告の単独所有となること(後記(4))からすれば,本件借入金についても,債務者を従前のままとして,清算がされたというべきである。
以上によれば,離婚により,本件借入金における債務につき,原告と被告が各自50%の割合による負担を負うこととなったとの原告の主張は,独自の見解であって,採用できない。」

このように、当該事案においては、清算条項が付せられており、連帯保証人が何らかの義務を負うと解することはできないとされています。

その上で、同判決は、「なお,実質的にも,本件調停条項により本件不動産は原告の単独所有となったのであって,本件不動産購入のための本件借入金返済債務の負担は原告が負うと考えることが合理的であって,他方,持分を有しなくなった被告に本件借入金の債務を負担させるべき合理的理由があるとはいい難い。」としています。

つまり、特段の取り決めがない場合、不動産を取得した主債務者は、全額ローンの返済をすべきだと解されるとしたのです。

主債務者が不動産を取得するというメリットを有することとのバランス上、合理的な判断と思われます。

他方、主債務者が不動産を取得しない場合どうなるかについては積み残しの部分もあり、今後も争いが生じうると考えられます。

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