学習費の賠償(交通事故)

交通事故

1 交通事故で必要となった学習費と賠償

子どもが交通事故で入院などした場合、退院後に勉強を取り戻すための学習費(塾や家庭教師)がかかる場合があります。

また、入院などにより、塾などに行くことができず、それまで払った授業料などが無駄となることもあります。

そのような場合、学習にかかわる費用について賠償が認められることがあります。

例えば、横浜地方裁判所平成26年12月26日判決は、以下のとおり述べて、勉強の遅れを取り戻すための家庭教師代の賠償を認めています。

「原告は,上記認定のとおり,本件事故後,トリマー専門学校の専門課程(2年間)に進学し,毎週月曜日に通学していたが(8割以上の出席が要件),本件事故により十分な技術の習得・訓練ができず,進級及びライセンスの取得が困難となる可能性が生じたため,平成22年6月から9月にかけてトリミングの家庭教師の指導を受け,7万5000円を出捐したことが認められ,これに照らすと,原告が家庭教師を依頼したことには相当な理由があるから,本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。」

また、大阪地裁平成30年4月16日判決は、以下のとおり述べて、不必要に支払うことになった学費についての賠償を認めつつ、4月に退院した年度の学費については賠償の対象としては認めませんでした。

「被告は,本件事故当時,大学4年生であり,本件事故がなければ平成27年3月には卒業し,同年4月には就労を開始する予定であったが,本件事故後,大学を休学するなどした後,平成29年3月に大学を卒業したことが認められる。もっとも,被告は,その主張から明らかなとおり,平成27年4月から,大学に復学したものであり,本人尋問において,退院後も週に1回のリハビリを受けていたため,授業に出られない日もあったものの,日程を詰めれば1年で卒業することもできたかもしれない旨供述していることからすれば,本件事故により,平成28年3月までに卒業に必要な単位を取得できなかったとは認められない。また,被告本人尋問の結果によれば,被告は,G病院を退院した頃には,公務員試験を受験することを決めており,実際にも民間企業を対象とした就職活動はしておらず,平成29年4月から生駒市役所の職員として就労を開始したことが認められるところ,公務員としての就職活動やその成否には,いわゆる新卒かどうかは特段影響しないと考えられるし,被告は,公務員試験のためのセミナーに通っていたとも供述するが,かかるセミナー受講が公務員試験の合格に必須のものであったとも認められないことからすると,被告が,就職活動のために,平成28年度も大学に在学する必要があったとも認められない。
そうすると,本件事故により被告が余分に負担を余儀なくされた学費費等ということができるのは,平成26年度前期の授業料65万3200円及び同年度後期の休学手数料6万0000円の合計額に相当する71万3200円(乙22の1,4及び弁論の全趣旨)であり,同額をもって,本件事故と相当因果関係のある損害と認める。」

このように、退院などした後に留年などをしたとしても、それが交通事故と因果関係にあること(学習能力が衰えたとか、通院にかなり日数を要したなど)について具体的に主張立証しないと、賠償の対象とはなりにくいということになります。

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