住宅ローンのある不動産をどちらが取得するか(離婚)

離婚問題

1 不動産の財産分与

住宅は通常物理的に分けることが困難であり、財産分与にあたり、どちらの所有物とするか争いが生ずることが多くあります。

例えば、東京家裁平成28年3月30日決定は、以下のとおり述べて、相手方を主債務者とする債務があり、それを被担保債権として抵当権が設定されている場合に、抵当権実行の場合の処理の困難さを踏まえ、相手方に不動産を分与すべきものとしました。

「本件記録によれば,申立人は,本件不動産の相手方共有持分の取得を希望している。しかし,前記のとおり,相手方を主債務者とする負債があり,これを被担保債権として,本件不動産に抵当権が設定されていることが認められるから(甲3),その負債について,相手方がその返済を怠った場合,抵当権が実行される可能性があり,また,その場合に申立人が同債務を返済した場合には,その求償関係を巡り問題が生じることになる。したがって,当事者間における債務の返済や抵当権の処理等につき処分ができない審判手続において,本件不動産を申立人に分与することは相当でないと解される。」

ところが、同審判は、東京高裁により破棄され、申立人に不動産を分与すべきとの決定がなされています。

「原審申立人は,本件不動産の原審相手方持分2分の1の取得を希望している(原審申立人の平成29年4月13日付け準備書面1等)。本件不動産には抵当権が設定されているが(甲3),原審申立人と原審相手方は被担保債権について連帯債務を負い,原審相手方名義の預金が担保とされていることは前示のとおりであるから,抵当権が実行される可能性は相当程度に低いといえる。そうすると,本件不動産の原審相手方共有持分を原審申立人に分与することが相当である。」

このように、債権について預金が担保として設定されているため、抵当権が実行される可能性が低いとして、相手方が主債務者である債務の抵当権が不動産に設定されていることは考慮されないとしました。

しかし、よくあるのは不動産に住宅ローンのための抵当権が設定されている場合であり、その抵当権については通常実行される可能性が相当程度に低いとは言えないでしょう。

ですから、やはり不動産に抵当権が設定されている場合、その債務の主債務者に不動産が分与される方向に判断されがちということにはなるでしょう。

もちろん、それだけではなく、誰がその不動産に居住しているか、家の大きさと暮らす人数なども考慮されたうえで不動産の分与について決定されることになるでしょう。

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