執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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1 カーナビの表示に従って発生した交通事故の責任
最近、ほとんどの自動車にカーナビが搭載されるようになりました。
しかし、案内がいまいちの機種もあるというのが実態であり、そのために交通事故が発生することもあるようです。
福島地裁平成30年12月4日判決は、カーナビに従い運転をしていたところ、狭く草木がせり出している道路に出てしまい、自動車が損傷したという事故について、カーナビに搭載されている地図製作会社などの責任を認めませんでした。
裁判所は、
「原告は、本件道路がその先で更に狭くなっていたり草木がせり出している可能性があり、そのまま走行すれば、本件車両に損傷が生じるおそれがあることを認識していたものと推認される」
「原告が・・・所持していた・・・パンフレットの地図には別ルートである本件市道の記載があり、ルート案内された本件道路の安全性に疑問を感じたのであれば、上記パンフレットを読むなどして本件市道を認識することは可能であったと考えられる。係る状況下において、原告が本件カーナビのルート案内に依存するのは適切ではなく、自らが本件道路の具体的状況と本件車両の車種・形態を考慮して進路を選択するのが相当である」
「本件カーナビに搭載されていた本件地図データは、国土地理院の2万5000分の1の地形図に基づくものであり、本件道路が上記地形図において軽車道とされていたことからすれば、本件カーナビ及び本件地図データが、およそ車両の通行できない道路を収録し、表示していたものとはいえない」
として、最終的には、
「本件カーナビが本件道路を含むルートを表示すること自体が必ずしも不合理でない上、原告は本件カーナビのルート案内に依存せず、自らの判断に基づき本件道路を走行しなければならないところ、あえて本件道路の走行を選択したものであり、仮にその際に本件車両に擦過痕が生じたとしても、それは本件カーナビのルート案内によって生じたものと認めることはできない。したがって、本件カーナビによるルート案内と本件車両に生じた擦過痕との間に相当因果関係は認められない」
として、業者側の賠償責任を否定しました。
今現在のカーナビの精度などからすれば、それに全面的に依拠することは相当ではなく、最終的には運転者の判断で運転することが求められるといえます。
ですから、カーナビを信頼して運転した結果、事故が生じたとしても、基本的にはカーナビ製造業などの責任は認めがたいということになるでしょう。
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