有給休暇取得と休業損害(交通事故)

交通事故

1 有給休暇取得と休業損害との関係

交通事故で傷害を負い、そのため休業を余儀なくされた場合、休業損害があったとしてその賠償請求ができる可能性があります。

この点、休業の際に有給休暇を取得して給料が発生しても、その有給休暇は事故がなければ別の目的に使うことができたものですから、その給料分について休業損害の対象となることについてほぼ争いはありません。

しかし、有給休暇による損害の算定が困難な場合もあり、その算定方法が問題となります。

東京地方裁判所平成18年10月11日判決は、交通事故による休業中に有給休暇を取得した場合の損害額について争いがある事案について、以下のとおりその計算方法について判断を示しています。

「原告が本件事故による傷害に対する治療のため,平成13年12月28日に半日の有給休暇を取得し,これが損害となることについては争いがない。そして,同日の1日当たりの有給休暇に支払われる金額についても,本件証拠上,これを正確に算定することは困難であるが,前記ウと同様に解すべきであるところ,平成13年の年収は969万1107円であることが認められるが(甲32),同年中の賞与の額は,本件証拠上,明らかではない。しかし,原告の平成11年から平成17年までの年収,月収及び賞与の推移は,本件証拠上,別紙原告の収入の推移表のとおりであると認められるところ,同表,平成12年に本件事故による欠勤がなかった場合の賞与支給額が278万6400円であること(甲23)及び弁論の全趣旨によれば,平成13年の賞与支給合計額は,少なくとも230万円以上であったと推認される。
また,平成13年中の休日日数は124日であるから(甲24),前記ウと同様の考え方により,有給休暇1日当たりの金額は,(969万1107円-230万円)÷(365-124日)=3万0668円(円未満切捨て)となり,その0.5口分は,1万5334円となるので,1万5334円をもって相当な金額と認める。」

このとおり、判決は、年収から賞与を控除した額を、365日から休日日数で引いた額で割った金額を基準にして休業損害額を算定すべきことを示しています。

実際に有給休暇を取得した場合に得られる金額の算定として合理的であり、実務上参考になる裁判例かと思います。

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