固定経費と休業損害(交通事故)

交通事故

1 固定経費と休業損害(交通事故)

自営業者が交通事故の被害に遭い、休業した場合、失った所得だけではなく、固定経費も休業損害として賠償の対象たりえます。

一般的に休業をすれば経費も発生しません。

しかし、事業の再開を予定している場合、固定経費は発生し続けるので、休業損害として損害賠償の対象となるのです。

例えば、神戸地裁平成30年5月10日判決は、以下のとおり述べて、トレーラー運転手について、無線使用料、自動車保険、貨物保険、車両代を固定経費として休業損害の対象としました。

「原告は、海上コンテナを運搬するトレーラーの運転手としてFに勤務していたこと、原告の本件事故前3か月の収入は合計6万8840円であったこと、原告の同期間の固定経費(無線使用料、自動車保険、貨物保険、車両代)は合計87万9384円であり、これが売上高から控除されていたこと、原告は、平成25年7月11日から同年8月24日までの間、45日間休業したこと、原告は、その後、Fのアルバイト従業員となったことが認められる。そして、原告本人の供述によれば、原告の休業中の上記固定経費は、事業の維持・存続のために必要やむを得ないものであると認めるのが相当であり、休業損害として認めるのが相当である。」

大阪地裁平成30年3月23日判決は、以下のとおり、固定経費とそうではない経費について個別に検討をしており、何が固定経費として認められるべきものかを考える上で参考となります。

「原告が主張する固定費のうち,租税公課,通信費,消耗品費,支払手数料,諸会費については,費目の項目のみでは実態が不明であり,原告が業務を行わなくても支出を余儀なくされ,これを支出しなければ業務遂行ができなくなる性質のものであるか判断ができず,固定費であることの立証としては不十分である。」
「会議費について,原告は,喫茶店やレストランで話をするときの費用などを計上したものである旨述べているが(原告本人),そうした費用は,休業時にも支出しなければ事業継続が不可能になる費用とはいえず,固定費とはいえない。」
「水道光熱費については,固定費であること自体の立証がないほか,事務所について生じたものと家について生じたものが明確に区分されておらず,按分されているにすぎないところ(原告本人),どのように按分しているかについての説明はされておらず,事業について生じた水道光熱費自体の立証がないというべきである。」
「修繕費は,事業で使用する車両の車検費であると説明されており(原告本人),固定費に含まれると認められる。下記の内訳にあげたその他の項目も,項目名からは,固定費に含まれると認められる。」

「以上を踏まえると,休業損害としての基礎年収の算定上加算すべき固定費は,次の内訳の合計額である,148万8118円となる。
(内訳
損害保険料  16万8766円
修繕費    17万0300円
減価償却費 102万5429円
利子割引料   1万9514円
図書研修費  10万4109円)」

このように、固定経費かどうかは、保険料や修繕費のように費目名自体から固定経費といえるものもありますが、休業中でも継続的な支払いが必要であることを具体的に説明しないと固定経費とならないものもあるので注意が必要です。

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