事業再開後の減収と休業損害(交通事故)

交通事故

1 事業再開後の減収と休業損害(交通事故)

交通事故により仕事ができなくなった場合、休業期間中の収入減少について休業損害として賠償されることがあります。

通常は休業期間中についてのみ認められますが、自営の場合、事業再開後しばらくは収入が落ちることもありえます。

そこで、事業再開後の期間についても休業損害が認められることもあります。

例えば、名古屋地裁平成14年9月27日判決は、以下のとおり述べて、歯科医師が休診後診療の再開をした後も売上げが低迷したことについて、休診による患者数の減少が原因だとして事故と因果関係のある損害として認めました。

しかし、それ以外の要因も考えられるとして、原告主張金額の8割についてのみ賠償を認めました。

「原告は、同年4月から歯科医院の診療を再開したが、上記の期間休診したことから、前年同期と比べて患者数が減少し、売上も減少した。この患者数の減少は、後記のとおり一定の割合では本件事故と相当因果関係を有すると認められる。」
「同年4月から同年6月までの間の原告の歯科医院の売上は、同年4月分が442万2620円、同年5月分が569万9200円及び同年6月分が591万1790円の合計1603万3610円にとどまり、平成11年度のその間の売上合計1927万5700円と比べて324万2090円減少した(甲4、12、19、21、原告本人)。」
「上記の原告の歯科医院の収入の減少は、本件事故による休診を原因とすると推認される。しかし、一般的に歯科医院経営における収入の減少にはさまざまな要因が考えられ、本件全証拠によっても、原告の歯科医院の収入の減少の全てが本件事故による休診を原因とすると認めるには足りず、そして、弁論の全趣旨によれば、本件事故と相当因果関係があると認められる原告の収入の減少額は、原告が主張する324万2090円のうちの8割に相当する259万3672円であると認めるのが相当である。」

休業後、事業再開をしても売上げが伸び悩む場合、その原因を分析し、休業がその原因となっているような場合、事業再開後の期間について休業損害が認められることもありえますので、注意が必要となります。

なお、給与所得者についても、休業後職場復帰後の労働内容が変更し、給与が減少するような場合、同じく休業期間明けの休業損害というものが考えうることになります。

2 新潟で交通事故のご相談は弁護士齋藤裕へ

交通事故でお悩みの方は弁護士齋藤裕にご相談ください。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。

交通事故についての一般的な記事
休業損害についての一般的な記事

弁護士費用はこちらの記事

もご参照ください。

さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です