交通事故と身体障害者手帳

交通事故

1 交通事故と身体障害者手帳

交通事故により身体障害が生じた場合、身体障害者手帳の交付を受けることができる可能性があります。

この身体障害者手帳を受ける人は、障害の程度に応じ、1級から7級までの級別に分けられ、級により受けられるサービスが異なります。

例えば、上肢について言うと、両上肢の機能を全廃した場合、あるいは両上肢を手関節異常で欠く場合には1級に認定されます。

また、1上肢の機能の軽度の障害、一上肢の肩関節・肘関節又は手関節のうちいずれか一関節の機能の軽度の障害、一上肢の手指の機能の軽度の障害、ひとさし指を含めて一上肢の二指の機能の著しい障害、一上肢のなか指・薬指・及び小指を欠くもの、一上肢のなか指・薬指及び小指の機能を全廃したものに該当すると7級に認定されます。

2 手帳を所持している交通事故被害者が受けることのできるサービス

身体障害者手帳をもっている人は、障害者総合支援法に定める福祉サービスなどを受けることができます。

障害者総合支援法が定める福祉サービスには、居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、短期入所(ショートステイ)、療養介護、生活介護、施設入所支援(障害者支援施設での夜間ケアなど)、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援(A型=雇用型、B型)、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助(グループホーム)、移動支援などがあります。

3 身体障害者手帳と損害賠償金との関係

交通事故による損害賠償金から障害者総合支援法にもとづく福祉サービスにより受給などした分を引くかどうかについては、裁判例において引かなくてもよいとの判断がなされているところです。

例えば、名古屋地裁平成29年10月17日判決は、以下のとおり、過去分・将来分含めて引かなくて良いとの判断を示しています。

「このように,Aに必要な介護費用は,現状,その大部分が公的給付によって賄われているが,障害者総合支援法に基づく公的給付は,障害者の福祉の増進を図ることを目的とするもので(同法1条参照),損害の補填を目的とするものではない。同法には,給付を行った市町村等による代位の規定も設けられていない。かえって,介護保険給付が障害者総合支援法に基づく給付に優先するとされ(同法7条),かつ,介護保険給付については,第三者から損害賠償を受けたときは,市町村は,その価額の限度において,保険給付を行う責を免れるとされている(介護保険法21条2項)。そうすると,将来にわたって,Aに対して現在と同水準の公的給付が維持されるという蓋然性までは認め難く,困難な将来予測の場面で,現状の公的給付を所与の前提として将来介護費を算定することは,相当ではない。したがって,同法に基づく公的給付は,既給付及び将来給付の分も含めて,損益相殺的調整を図るべきものではないと解するのが相当である。」

ですから、障害者総合支援法による支給分については考慮しないで損害賠償請求するという取扱いでよろしいかと思われます。

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