
1 新型コロナとキャンセル
新型コロナウイルス蔓延と緊急事態宣言に伴い、結婚式や旅行のキャンセルが増えています。
その場合、事業者において事実上キャンセル料を免除することもあるようですが、必ずしもすべての場合にキャンセル料が免除されているわけではありません。
そのような場合でも、消費者の都合でキャンセルした場合にキャンセル料が発生するとの定めが一般的でしょうから、約款の内容に応じて、そもそも旅行や結婚式が不可能であるなどとして、キャンセル料の発生を争うことが考えられます。
仮にキャンセル料が発生すること自体はやむをえない場合でも、キャンセル料が無制限に認められるものではありません。
この点、消費者契約法は、以下のとおり定めます。
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
ですから、「平均的な損害」を超えるキャンセル料は許されません。
ここで「平均的な損害」とは、同種の消費者契約の解除に伴い、同種の事業者に生ずる損害をいいます。
東京地裁平成30年4月23日判決は、この「平均的な損害」について、以下のとおり述べます。
「消費者契約法9条1号の「平均的な損害」は,解除の事由,時期の他,当該契約の特殊性,逸失利益・準備費用等損害の内容,契約の代替可能性・変更ないし転用可能性等の損害の生じる蓋然性等の事情に照らし,判断するのが相当である。」
そもそも、キャンセルがあっても、他のお客さんで容易に穴埋めできる業種の場合、損害は発生しにくいといえるでしょう。
しかし、新型コロナが蔓延している状況において、穴埋めが困難になるといえる可能性はあります。
他方、そもそも新型コロナウイルス蔓延下において、事業者において収益をあげることができる可能性があったのか、つまり逸失利益があると言えるのか、疑問なしとしません。
ですから、消費者契約法を使い、通常の場合よりキャンセル料を低くするように交渉する余地もあるように思います。
2 新潟でキャンセル問題へ弁護士齋藤裕へ
新型コロナウイルスをめぐる旅行、結婚式場のキャンセルなどでお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。