正社員だけテレワークは納得できない  新型コロナ法律相談その19

さいとうゆたか弁護士

1 正社員はテレワーク、非正規・パート・派遣は出社

新型コロナウイルス対策でのテレワークが進んでいます。

しかし、正社員はテレワークなのに、パートタイム、派遣社員などの非正規労働者は出社しなければならないことが多いと指摘されています。

もちろん、そもそも非正規労働者がテレワーク困難な業務に従事している場合には差別とは言いにくいかもしれませんが(それでも、安全配慮義務の観点から、有給休業とすることも検討はすべきでしょう)、同じ業務に従事している場合については、許されない差別に該当する可能性もあると考えられます。

2 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律

この点、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条は、以下のとおり定めます。

8条 「事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と思われるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない」

この「待遇」について、水町勇一郎「『同一労働同一賃金』のすべて」80ページは、「労働条件」という語ではなく、「待遇」という語が使われるに至った経過から、「解雇、配転、懲戒処分等の人事上の措置も、本条の『待遇』に含まれるものと解釈すべきである」としており、妥当と思われます。

よって、テレワークとするか、出社を求めるかも、ここでいう「待遇」の問題となると解されます。

そうだとすると、同じ業務に従事しているのに、正社員はテレワーク、非正規社員は出社という扱いは短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条に反する疑いがあると言わなくてはなりません。

将来的には慰謝料請求などの問題もありうるかもしれませんが、当面は短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条を根拠に事業主に差別的な取り扱いを止めるよう要求することが大事となるでしょう。

3 新潟の労働事件は弁護士齋藤裕へ

労働者間の差別については、正規労働者非正規労働者間の賃金差別についての記事もご参照ください。

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